薬剤師国家試験 第108回 問222-223 過去問解説

　問 題　　　　　

52歳男性。中枢性尿崩症の診断を受け、以下の薬剤による治療が開始となった。

問222

この患者への服薬指導として、誤っているのはどれか。1 つ選べ。

1. 使用前に鼻をかんでから使用してください。
2. 使用時、左右の鼻腔に交互にスプレーしてください。
3. スプレー時には、息を深く吸ってください。
4. 使用中は、医師より指示された飲水量を守ってください。
5. 冷蔵庫に容器を立てた状態で保管してください。

問223

処方薬は、この患者で不足しているホルモンの作用を補う目的で使われている。そのホルモンに関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. ジスルフィド結合で架橋された A、B 鎖からなるポリペプチドである。
2. 視床下部ホルモンの刺激により、下垂体前葉の細胞で産生される。
3. 心臓に作用し、グアニル酸シクラーゼを活性化して、血圧を低下させる。
4. 血管平滑筋細胞に作用し、ホスホリパーゼ C を活性化して、血管を収縮させる。
5. 腎集合管の細胞に作用し、プロテインキナーゼAを活性化して、水の再吸収を促進する。

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

問222

選択肢 1 は妥当です。
使用前に鼻をかみ、通りをよくします。

選択肢 2 は妥当です。
複数回噴霧の際は、左右交互に噴霧するように指導します。

選択肢 3 ですが
スプレー時には、息を止めて噴霧します。噴霧後は軽く鼻を押さえ、頭を後ろに傾け、静かに鼻から息を吸うことで、薬液を鼻の奥まで行き渡らせます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
水の飲み過ぎによる、血中 Na 濃度低下に注意します。

選択肢 5 は妥当です。
凍結を避け、冷蔵庫で保存します。

以上より、問 222 の正解は 3 です。

問223

選択肢 1 ですが
S-S 結合で架橋された A 鎖、B 鎖といえば、インスリンについての記述です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
バソプレシンは、下垂体「後葉」です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
バソプレシンの作用は「抗利尿」なので、体から出る液体が少なくなるから、体液増加方向です。従って、血圧「上昇」方向に作用すると考えられます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4,5 は妥当です。

以上より、問 223 の正解は 4,5 です。