問 題
薬物動態の非線形性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化する。
- 血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。
- 肝臓の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の分布容積は増加する。
- 小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。
- 尿細管分泌を担う担体輸送に飽和が生じた場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下する。
正解.1, 5
解 説
選択肢 1 は妥当です。
代謝が非線形 → 非線形の代表例として「代謝の飽和」 → 代謝が飽和すると、薬物が分解されない → CLtotal 減少します。また、非線形の結果、逆に薬物の分解が急に促進されれば、CLtotal が増加します。つまり、全身クリアランス CLtotal が投与量の増加に伴い変化する という記述は妥当です。
選択肢 2 ですが
血漿タンパク結合飽和 → 非結合薬物の割合増加 → 組織への分布促進なので、血中からの薬物除去促進 → 薬物の CLtot は「上昇」と考えられます。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
分布容積は変わらないと考えられます。選択肢 3 は誤りです。(類題 99-273 23歳女性。体重45kg。てんかんの症例)。
選択肢 4 ですが
小腸上皮での代謝とは、吸収前の薬物の分解といえます。投与量が変化したようなものであると考えれば、それで薬物の CLtotal は変化しないと考えられます。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
分泌を担うトランスポーターが飽和したのであれば、分泌 CL は低下します。
以上より、正解は 1,5 です。
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