問 題
完全アゴニストの濃度-反応曲線 (曲線 A) に関連する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
ただし、各薬物は同一の受容体にのみ作用し、また、余剰受容体は存在しないものとする。
- 部分アゴニストは、完全アゴニストによる最大反応には影響せず、曲線 A を低濃度側に平行移動させる。
- 競合的アンタゴニストは、受容体に可逆的に結合し、曲線 A を高濃度側に平行移動させる。
- 非競合的アンタゴニストは、完全アゴニストによる最大反応には影響せず、曲線 A を高濃度側に平行移動させる。
- 逆アゴニストは、曲線 A を低濃度側に平行移動させる。
- 完全アゴニストに化学修飾を加え、内活性は変えずに受容体に対する親和性だけを上げると、その濃度-反応曲線は、曲線 A より低濃度側に位置する。
正解.2, 5
解 説
選択肢 1 ですが
部分アゴニストは、最大反応に影響します。曲線 A を下方に押し下げます。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
競合的アンタゴニストは、曲線 A を高濃度側に平行移動させます。
選択肢 3 ですが
非競合的アンタゴニストは、最大反応に影響します。曲線 A を下方に押し下げます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 1 ~ 3 について
用法用量曲線の変化をまとめたものが、以下の図となります。
選択肢 4 ですが
逆アゴニストとは、アゴニストの作用点に結合するが、受容体の恒常的活性を減弱させるようなアゴニストのことです。(105-26 逆アゴニスト)。曲線 A を低濃度側に平行移動させる とは、完全アゴニストの濃度がより低濃度で、高い反応が見られるようになる、という意味です。これは、逆アゴニストの働きではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
親和性だけ上がった ということなので、より低濃度で高い反応が見られるようになります。つまり、曲線 A よりも低濃度側に位置すると考えられます。
以上より、正解は 2,5 です。
類題 97-27 競合的アンタゴニストを加えたアゴニストの用量‐反応曲線
参考 薬理学まとめ 薬物の用量と作用の関係
コメント