薬剤師国家試験 第108回 問129 過去問解説

 問 題     

食品中の発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. サイカシンは、β – グルクロニダーゼにより加水分解されて発がん作用を示す。
  2. アフラトキシン B1 は、シトクロム P450 によりエポキシ化されて発がん作用を示す。
  3. Trp – P – 1 は、高温での加熱調理により食品中の核酸から生成する。
  4. ベンゾ [a] ピレンは、高温での加熱調理により食品中のアミノ酸から生成する。
  5. ジメチルニトロソアミンは、酸性下において、亜硝酸とジメチルアミンとの反応により生成する。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
サイカシンは、自然毒の一種です。ソテツに含まれます。水にさらすと除去できるという特徴があります。サイカシンは、体内で β – グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じます。(106-135 発がん物質の代謝活性化)。βーグルクロニダーゼではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
ベンゾ [a] ピレンおよびアフラトキシン B1 に共通する代謝的活性化反応として、エポキシ化をおさえておくとよいです。(参考 CBT 対策問題 no32)。

選択肢 3 ですが
Trp が、トリプトファンの略です。そこから「核酸」ではなく「アミノ酸」と判断できるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。(参考 107-130 食品の加熱による、アミノ酸が関与する反応で生じる発がん物質)。

選択肢 4 ですが
ベンゾピレンは、炭化水素化合物の不完全燃焼により生成されます。食品中アミノ酸由来ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
ジメチルメトロソアミンについての記述です。

それぞれの構造について、以下まとめておきます。対応をある程度判断できるとよいです。

以上より、正解は 2,5 です。

参考 衛生薬学まとめ 自然毒 

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