薬剤師国家試験 第108回 問115 過去問解説

 問 題     

原核細胞の遺伝子発現における転写と翻訳に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 遺伝子の転写と翻訳は同時進行が可能であり、転写が完結する前に翻訳が開始される。
  2. 翻訳開始コドンの直前には、シャイン・ダルガーノ (SD) 配列が存在し、リボソームの 60S サブユニットが結合する。
  3. 翻訳は、mRNA の 3ʼ 末端側から 5ʼ 末端側の方向に進行し、ペプチド鎖は C 末端側から N 末端側へと合成される。
  4. アミノアシル tRNA は、コドンを含む tRNA の 3ʼ 末端に、mRNA 上のアンチコドンに対応したアミノ酸が結合している。
  5. オペロンとして隣り合う一群の遺伝子は 1 本の mRNA (ポリシストロニック mRNA) に転写され、複数のタンパク質に翻訳される。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
原核細胞であることがポイントです。(参考 102-116 真核細胞における翻訳について)。

選択肢 2 ですが
原核生物の mRNA において、開始コドンの上流に見られる共通配列を「シャイン・ダルガーノボックス(SD 配列)」といいます。この部分にまず 「30S」 サブユニットが結合します。「60S」サブユニットではありません。選択肢 2 は誤りです。

ちなみにですが、リボソームについて、原核生物は 70S (50S + 30S)、真核生物は 80S (60S + 40S) です。S は沈降速度を表し、単純な和にはなりません。

選択肢 3 ですが
「5′ → 3’」方向に進行です。また、N 末 → C 末方向に合成です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
コドンは mRNA 側です。tRNA 側に含まれるのがアンチコドンです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
オペロンは、ゲノム DNA 上の複数の遺伝子がまとまった構造です。

以上より、正解は 1,5 です。

コメント