問 題
麻酔下のラットに低用量のアセチルコリン (5 μg/kg) を静脈内投与すると、急速に血圧が下降したが、アトロピン (1 mg/kg) を静脈内投与後に高用量のアセチルコリン (500 μg/kg) を静脈内投与すると、血圧が上昇した。
アトロピン投与後の高用量のアセチルコリンによる血圧上昇に関係するのはどれか。1 つ選べ。
- アセチルコリン M1 受容体
- アセチルコリン M2 受容体
- アセチルコリン M3 受容体
- アセチルコリン NN 受容体
- アセチルコリン NM 受容体
正解.4
解 説
同じ薬である アセチルコリン(Ach)ですが、低用量投与した場合と、抗コリン薬であるアトロピンを前投与した上で高用量投与した場合において、それぞれ血圧下降/血圧上昇 が見られたという現象についての問題です。一読した時に「あれ、アドレナリン反転・・・ではない」と感じて、少し驚いた問題かもしれません。
Ach は通常、ムスカリン様作用のみが見られます。しかし、本問のように抗コリン薬によりムスカリン受容体を遮断した上で 高用量投与した場合においては、ニコチン様作用が見られます。そのため、関係するのは N 受容体です。これにより、正解は 4 or 5 となります。
血圧上昇に関連しているため、自律神経、中でも交感神経系の興奮が引き起こされたものと考えられます。そのため、自律神経節などに分布する Nn 受容体が妥当です。Nm 受容体が刺激されたとすれば、骨格筋が収縮すると考えられます。
以上より、正解は 4 です。
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