問 題
48歳女性。体重60kg。原因不明の急性腎不全で入院し、腹膜透析導入となった。腹膜透析カテーテル挿入術を終え、入院3日目より透析液Aで腹膜透析を開始した。
入院10日目に除水効果のより高い透析液Bに変更して30分ほど経過した時点で、両下肢に広範囲にわたる皮疹と呼吸困難をともなう急激な血圧低下を認めた。
なお、入院の10日前より開始したスクロオキシ水酸化鉄チュアブル錠の服用を継続している。
両下肢の皮疹を認めた直後に調べた血液検査で好酸球数が増加していた。主治医から薬剤師への相談に対し、今回の有害事象に関連する提案として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- スクロオキシ水酸化鉄に対するアレルギー反応が疑われるため、一時的に同薬剤の使用を中止する。
- 透析液変更による反応と考えられることから、透析液Bにブドウ糖を追加して浸透圧を透析液Aと合わせる。
- 透析液Bのイコデキストリンに対するアレルギー反応が疑われるため、透析液BからAに再度変更する。
- アドレナリンを静注する。
- トシリズマブを静注する。
正解.3, 4
解 説
選択肢 1,2 ですが
透析液を変更し、30 分という短い時間の間に急変しており、透析液の変更を原因とする急性アレルギー反応と考えられます。「スクロオキシ水酸化鉄に対するアレルギー反応」ではありません。また、具体的には、透析液 A に含まれず、B のみに含まれる物質が原因であると考えられるため、B + ブドウ糖では、原因物質を除去できません。選択肢 1,2 は共に誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
選択肢 4 は妥当です。
呼吸困難をともなう急激な血圧低下、つまりショック症状が起きています。アドレナリン投与をすべきと考えられます。(類題 103-298299)。
選択肢 5 ですが
トシリズマブ(アクテムラ)は、ヒトインターロイキン6レセプターモノクローナル抗体です。関節リウマチなどに用います。今回の有害事象に関連する提案としては不適切と考えられます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問330 の正解は 3,4 です。
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