問 題
68 歳男性。体重 62 kg。最近動悸が激しく息切れすることもあったが放置していた。突然、左側の手足のしびれや麻痺が発現し、言葉も出てこなくなったため、家族が救急車を要請し緊急入院となり、心房細動及び心原性脳梗塞と診断された。
心不全の症状はなく、その後の治療により病状が落ち着いたため退院することになった。入院中の処方 1 に加え、退院時に処方 2 が新たに追加されることになった。
また、現在の検査値は以下のとおりである。
(検査値)
血圧 140/88 mmHg、心拍数 110 拍/分、BUN 28 mg/dL、血清クレアチニン値 1.4 mg/dL、クレアチニンクリアランス 42 mL/min、LDL 165 mg/dL、HDL 50 mg/dL、TG(トリグリセリド) 140mg/dL
問248
処方 1 及び 2 のいずれかの薬物の作用機序として、適切なのはどれか。1 つ選べ。
- アデノシン P2Y12 受容体を遮断して、血小板凝集を抑制する。
- ビタミン K の代謝サイクルを阻害して、血液凝固を阻害する。
- 第 Xa 因子を阻害して、トロンビン産生を抑制する。
- トロンボキサン A2 の合成を阻害して、血小板の活性化を阻害する。
- プラスミノーゲンをプラスミンに変換して、血栓中のフィブリンを分解する。
問249
処方1と2を監査した病棟薬剤師が処方医に提案する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- カルベジロールを減量する。
- エドキサバンを減量する。
- アスピリンを追加する。
- アトルバスタチンを追加する。
- クロピドグレルを追加する。
正解.
問248:3
問249:2, 4
解 説
問248
カルベジロールは
α1 ,β 遮断薬です。末梢血管の拡張に加え、心筋収縮力の低下により降圧作用を示します。選択肢 に該当する記述がないため、問われているのは、処方2の作用機序とわかります。
エドキサバン(®リクシアナ)は
直接 Xa 因子阻害薬です。(106-246247)。
以上より、問 248 の正解は 3 です。
ちなみに
選択肢 1 は チクロピジン
選択肢 2 は ワーファリン
選択肢 4 は オザグレル
選択肢 5 は アルテプラーゼ、ウロキナーゼなど の作用機序と考えられます。
問249
検査値から
腎機能低下(血清クレアチニン 男性基準値 1.2mg/dL 以下、クレアチニンクリアランス 正常値 およそ100 ~ 120 mL/min)、高脂血症傾向(基準値 LDL 70 ~ 140mg/dL、HDL)が読み取れます。 ※基準値としての値は、本試験時点。
エドキサバンの添付文書によれば
クレアチニンクリアランスが 30 ~ 50 の場合、30mg を1日1回と決まっています。
また、LDL が高めなので、アトルバスタチンの追加は妥当です。
本試験では、添付文書における知識 は覚えていないと考えられるため、選択肢 1,3,5 が誤りと判断する方が、現実的と思われます。
すなわち
選択肢 1 について
カルベジロール減量は、血圧高めで、減量の必然性がないため、誤りと考えられます。
選択肢 3,5 について
抗血小板薬として、処方2を追加しているのだから、同じ目的で用いられるアスピリンやクロピドグレルの追加は、理由がなく、誤り。 です。
以上より、問 249 の正解は 2,4 です。
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