薬剤師国家試験 第107回 問242-243 過去問解説

 問 題     

連日、猛暑のために熱中症警戒アラートが発表されている。そこで、高校の体育教員が経口補水液を買いに薬局に来て、薬剤師に熱中症や暑さ指数(WBGT)について質問をした。

問242

熱中症や暑さ指数 (WBGT) に関する説明として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 熱中症は、体内の水分や電解質が欠乏することで起こる健康障害です。
  2. 熱中症は、屋内でも起こることがあるので、特に厚手の衣類を着用するスポーツでは注意が必要です。
  3. 同じ気温でも、湿度が高いときほど熱中症の危険性は高くなります。
  4. 暑さ指数 (WBGT) は、熱中症を予防することを目的として提案された指標で、℃の単位で表されます。
  5. 暑さ指数 (WBGT) は、感覚温度図表を用いて算出されます。

問243

熱中症及び暑さ指数 (WBGT) について説明したところ、「近々開催する運動会の当日に暑さ指数を測定したいので、必要な器具を紹介して欲しい」との依頼があった。

暑さ指数 (WBGT) を求めるために必要な測定器具はどれか。2つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.
問242:5
問243:1, 4

 解 説     

問242

熱中症について、選択肢 1 ~ 3 は妥当です。

選択肢 4 は、妥当です。
暑さ指数単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されます。ただし、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標です。すなわち、湿度、 日射・輻射 (ふくしゃ) など周辺の熱環境、 気温の3つを取り入れた指標です。

選択肢 5 ですが
感覚温度はアスマン通風乾湿計と、カタ温度計を用いて求めることができる値です。黒球温度計を使いません。「黒球温度計」は「熱輻射」に関わる時に必要です。つまり、感覚温度に熱輻射は関与しません。(104-135)。

暑さ指数には、輻射も関与するため、感覚温度図表を用いて算出されるわけではありません。従って、選択肢 5 は誤りです。

以上より、問 242 の正解は 5 です。

問243

暑さ指数を求める式は
屋外:WBGT(℃)
0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

屋内:WBGT(℃)
0.7 × 湿球温度+0.3 × 黒球温度 です。

必要な測定器具は
湿球温度計、乾球温度計、黒球温度計です。

以上より、問 243 の正解は 1,4 です。

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