薬剤師国家試験 第107回 問170 過去問解説

 問 題     

ある薬物のアルブミンへの結合に関する両逆数プロットを実線で表し、また、この薬物のアルブミンへの結合が別の薬物の共存により競合的に阻害された場合を点線で表すとき、正しい図はどれか。1つ選べ。

ただし、図中の r はアルブミン 1 分子あたりに結合している薬物の分子数を、[Df] は非結合形薬物濃度を示す。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

r や [Df] を、まず具体的な数で考えるとわかりやすく、間違えないのではないかと思われます。[Df] は、血中薬物濃度と考えればよいです。

一例として
[Df] = 2, r = 3 とおいてみます。すると、1/[Df] = 1/2、1/r = 1/3 です。(1/2、1/3)を xy 平面にイメージすると、以下のようになります

※ 横軸において【薬物濃度の濃い、薄い】
※ 縦軸において【アルブミンに薬物が たくさん結合、あんまり結合していない】という意味付けをしっかり行うことを意識します。

線を考えるために、もう1点別の点を考えます。
一例として、[Df] = 1 とします。すると、1/[Df] = 1 です。グラフで言うと、より右側、薬物濃度は低い側です。薬物濃度が低いため、アルブミンに結合する薬物も少なくなります。そこで、r を 3より小さい数として、r = 2 としてみます。すると、1/r = 1/2 です。(1,1/2) という点を、平面に重ねてイメージすると、以下のようになります

2点を結んだ線が、実線の一例です。

ここで、x = 0 における グラフの y 切片について考えます。
x = 0 の時とは、[Df] が 正の無限大、つまり、とてつもなく薬物濃度が濃い時です。

薬物濃度がとてつもなく高い場合、競合阻害の効果はありません。従って、実線における グラフの y 切片と、競合阻害時における点線のグラフの y 切片に 変化はないはずです。これより、正解は 3 or 4 です。

また
競合阻害時において、同じ薬物濃度であれば、薬物はアルブミンと結合サイトを奪い合って、アルブミンにくっつかなくなります。これは、同じ [Df] に対して、r が小さくなる ということです。

r が小さくなれば、1/r は大きくなります。従って、グラフにおける各点が 上に並行移動する と考えられます。

このため、点線は 実線よりも 上です。

以上より、正解は 3 です。

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