薬剤師国家試験 第107回 問115 過去問解説

 問 題     

テロメアに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. テロメアは、染色体の末端に存在し、特定の DNA 塩基配列の繰り返し構造を含む。
  2. テロメアを開始点として DNA が複製される。
  3. 生殖細胞系列の分裂時には、テロメアは短縮する。
  4. 多くのがん細胞で、テロメアを伸長させるテロメラーゼが発現している。
  5. テロメア伸長の鋳型として、tRNA が利用される。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
染色体末端構造は、テロメアと呼ばれます。繰り返し塩基配列が実体です。細胞分裂の際、短くなります。(103-13)。

選択肢 2 ですが
真核生物の複製開始点は多数あるのですが、テロメアは複製の末端であり、開始点ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
テロメアが短縮するのは体細胞分裂です。精子や卵子を生み出す生殖細胞は、テロメラーゼというテロメアを伸長させる酵素を有しており、短縮しません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
がん細胞が無制限に増殖できることと関連づけて覚えておくとよいです。(参考 生化学まとめ 正常細胞とがん細胞)。

選択肢 5 ですが
テロメア伸長の鋳型として使われるのは RNA です。アミノ酸と結合している tRNA ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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