問 題
血小板に関わる分子についての記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- セロトニンは、血管の損傷部位で活性化された血小板から放出される。
- セロトニンは、血小板のホスホジエステラーゼを活性化して、血小板凝集を抑制する。
- アデノシン二リン酸 (ADP) は、血小板内のイノシトール三リン酸 (IP3) 量を増加させ、血小板凝集を促進する。
- トロンボキサン A2 は、血小板内の Ca2+ 濃度を上昇させ、血小板凝集を促進する。
- プロスタグランジン I2 は、血小板内のサイクリック AMP (cAMP) 量を減少させ、血小板凝集を促進する。
正解.1, 4
解 説
選択肢 1 は妥当です。
血小板の活性化によって ADP やセロトニンが放出されます。
選択肢 2 ですが
抗血小板薬である シロスタゾールの作用機序(参考 102-37)を思い出せば、確実に判断できるのではないでしょうか。シロスタゾールはホスホジエステラーゼ阻害薬です。
従って、ホスホジエステラーゼ「活性化」は、血小板凝集「促進」方向に作用します。血小板凝集「抑制」ではありません。従って、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
血小板の ADP 受容体の1つであり、クロピドグレルの作用点でもある P2Y12 受容体が、Gi タンパク質共役型であることが基礎知識です。(100-254255)。Gi タンパク質であれば、IP3 増加ではないと判断できると思われます。(参考 生化学まとめ 細胞膜受容体からGタンパク系を介しての情報伝達経路)。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
トロンボキサン A2 → 血小板凝集促進 は基礎知識です。(参考 生化学まとめ 代表的なエイコサノイドとその生理的意義(生理活性))。この機会に「血小板内の Ca2+ 濃度を上昇させ」という部分もまとめておさえるとよいです。
選択肢 5 ですが
ペラプロストの作用機序を思い出せば、明らかに誤りです。ベラプロスト(プロサイリン)は、PGI2 製剤です。IP 受容体に作用し、cAMP 濃度を上昇させます。(99-162)。「減少」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
コメント