問 題
50歳男性。5年前に病院の循環器内科で僧帽弁閉鎖不全症を指摘され、外来で経過観察中であった。2ヶ月前に歯肉炎のため歯科で処置を行った後、持続性の発熱、全身倦怠感、腰痛及び四肢に点状出血を認めたため、精査目的で入院となった。
聴診により心尖部で収縮期雑音が聴取された。また、血液培養によって、Streptococcus salivarius(緑色レンサ球菌の一種)が同定され、薬剤感受性試験を行ったところ、以下のような結果が得られた。
問296
この患者に投与する抗菌薬と投与期間の組合せとして、適切なのはどれか。1つ選べ。
問297
この患者の入院時の検査結果として、妥当なのはどれか。2つ選べ。
- 心エコー検査で、疣贅(ゆうぜい)(疣腫(ゆうしゅ))が認められる。
- 血液検査で、赤血球沈降速度(赤沈、ESR)が遅延している。
- 血液検査で、γ-グロブリン濃度が低下している。
- 血液検査で、CRP値が上昇している。
- 冠動脈造影検査で、血管閉塞が認められる。
正解.
問296:1
問297:1, 4
解 説
問296
問297とまとめて解説します。
問297
血流に乗った細菌が、損傷ある弁に到達した結果、感染性心内膜炎を引き起こした病態と考えられます。イボ状構造が心内膜にできて、剥がれ落ちた部分が血流に乗り、様々な部分で塞栓を生じます。放置は死につながる疾患です。エコー検査+血液培養で検査し、確定した場合、数週間の高用量抗生物質投与を行います。感受性検査、及び菌種から、ベンジルペニシリンによる治療が妥当と考えられます。
問 296 の正解は 1です。
疣贅(ゆうぜい)とは
一般にいぼと呼ばれるものです。 また、感染に対して炎症反応が起きていて、CRP 値が高値になります。炎症反応が大きいと、赤沈は早くなります。問 297 の正解は1,4 です。
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