薬剤師国家試験 第106回 問266-267 過去問解説

 問 題     

70 歳男性。体重 50 kg。皮膚科を受診して帯状疱疹の診断を受け、処方1の記載された処方箋を薬局に持参してきた。

お薬手帳の内容を確認すると、以下の薬剤を継続的に服用しており、血清クレアチニン値 6.0 mg/dLと記載されていた。また、血液透析は実施していないことを確認した。

薬剤師はファムシクロビル錠の添付文書等から薬物動態及び用法・用量に関する以下の情報を得た。

【健康成人における薬物動態】

  • ファムシクロビルは経口投与後、速やかに代謝され、血漿中には活性代謝物であるペンシクロビルのみが検出される。
  • ペンシクロビルの尿中排泄率(推定値):75%
  • ペンシクロビルの腎クリアランス:530mL/min

【用法・用量の目安】

問266

健康成人におけるペンシクロビルの主な消失経路と考えられるのはどれか。1つ選べ。

  1. 小腸上皮細胞内での代謝
  2. 肝代謝
  3. 糸球体ろ過
  4. 尿細管分泌
  5. 胆汁排泄

問267

薬剤師の対応として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 処方内容に問題がないと考え、そのまま調剤した。
  2. ファムシクロビル錠250mgを1回2錠で1日2回の投与とするよう、処方医に提案した。
  3. ファムシクロビル錠250mgを1回2錠で1日1回の投与とするよう、処方医に提案した。
  4. ファムシクロビル錠250mgを1回1錠で1日1回の投与とするよう、処方医に提案した。
  5. ファムシクロビル錠の投与は避けるよう、処方医に提案した。

 

 

 

 

 

正解.
問266:4
問267:4

 解 説     

問266

糸球体ろ過速度が、大体 100mL/min であることは基礎知識です。そこからペンシクロビルがろ過速度を超える腎クリアランスであることが読み取れます。ということは、尿細管分泌が相当多いということです。イメージがわかない場合は、腎CL=「糸球体ろ過 CL」 + 「分泌 CL」 - 「再吸収 CL」を思い出すとよいです。左辺が 530 で、右辺の第1項が 100 なので、分泌 CL が相対的に大部分とわかります。

以上より、正解は 4 です。

参考 薬剤学のまとめ 糸球体ろ過速度

問267

『推定される腎クレアチニンCL =(140-年齢)×体重/72×血清クレアチニン濃度』 ※女性の場合 × 0.85 。筋肉量が少ないため。という知識を覚えている設定です。値を代入していくと、(140ー70) × 50 /(72 × 6) です。推定 10mL/min 未満となります。用法・用量の目安から、ファムシクロビル錠 250mg を、1日1回とするのが妥当です。

以上より、正解は 4 です。

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