問 題
63 歳男性。体重 64 kg。左腎にがんを指摘され部分摘出術を受けた。その後、再発と骨転移、膵転移を認め、分子標的薬の投与が行われたものの再再発との評価を受け、先月よりニボルマブの単剤療法が開始された。
問264
ニボルマブの投与 3 回を経過した時点で 1 日 6 回以上の下痢、強い腹痛、発熱 37.5 ℃以上、鮮血便を認めたため大腸内視鏡検査を実施したところ、消化管潰瘍の所見を認め潰瘍性大腸炎と診断された。
初期治療に用いる薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ペムブロリズマブ点滴静注
- アダリムマブ皮下注
- イピリムマブ点滴静注
- ロペラミド塩酸塩錠
- メチルプレドニゾロン錠
問265
前問で選択した薬物の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- ヘルパー T 細胞内のカルシニューリンを阻害することで、インターロイキン-2 の産生を低下させる。
- アウエルバッハ神経叢のオピオイド μ 受容体を刺激することで、アセチルコリンの遊離を抑制し、蠕動運動を抑制する。
- T細胞の細胞傷害性 T リンパ球抗原-4 (CTLA-4) に結合することで、T 細胞の活性を維持する。
- 可溶性腫瘍壊死因子 α (TNF-α) と結合することで、抗炎症作用を発揮する。
- 受容体との複合体が核内に移行し、糖質コルチコイド応答配列に結合することでタンパク質の生成を調節する。
正解.
問264:5
問265:5
解 説
問264
ニボルマブ(オプシーボ)は、ヒト PD-1 に対するヒト型 IgG4 モノクローナル抗体です。潰瘍性大腸炎に対しては、サラゾスルファピリジンなどの抗炎症薬を使用します。
選択肢 1~3 ですが
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は、ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体です。アダリムマブ(ヒュミラ)は、ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体です。イピリムマブ(ヤーボイ)は、ヒト型抗ヒト CTLA-4 モノクローナル抗体です。どれも分子標的薬です。潰瘍性大腸炎の初期治療では用いません。選択肢 1 ~ 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
ロペラミドは、オピオイド μ 受容体を刺激して腸管運動を抑制する止瀉薬です。(102-159)。潰瘍性大腸炎の初期治療薬ではありません。選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 5 です。
問265
メチルプレドニゾロンはステロイドの一種です。ステロイドの受容体は、細胞質受容体です。細胞質受容体は、通常は細胞質に存在します。ステロイドと受容体が結合すると、複合体となり核内へ移行します。核内で DNA と結合し、転写調節因子として作用します。
以上より、正解は 5 です。
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