問 題
85歳男性、独居。慢性閉塞性肺疾患 (COPD) のため処方1による治療を受けていた。また、処方1のアドヒアランスは維持されていた。
しかし、最近、他職種の報告や薬剤師自身の訪問時の確認から、経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2) が 90 %を下回る機会が増え、湿性咳嗽などの症状が悪化していた。
患者は、サポートがあれば吸入剤の使用が可能である。また、貼付剤の長期使用によると思われるかぶれが目立つ。
問258
この患者の処方変更を医師に提案するにあたり、適切な薬物はどれか。2つ選べ。
- アテノロール
- ロキソプロフェンナトリウム
- ウメクリジニウム臭化物
- インダカテロールマレイン酸塩
- 硝酸イソソルビド
問259
処方1及び前問で提案された薬物のいずれかの作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- シクロオキシゲナーゼを阻害することでトロンボキサン A2 の生合成を低下させ、気管支平滑筋を弛緩させる。
- グアニル酸シクラーゼを活性化させることでサイクリックGMP (cGMP) を増大させ、気管支平滑筋を弛緩させる。
- アセチルコリン M3 受容体を遮断することで、気管支平滑筋の収縮を抑制する。
- アドレナリン β2 受容体を刺激することで、気管支平滑筋を弛緩させる。
- 炎症性サイトカイン産生の抑制や抗炎症性タンパク質の誘導により、気道の炎症を抑制する。
正解.
問258:3, 4
問259:3, 4
解 説
問258
記述はないけど、ずっと喫煙していたけど止めた人かもしれません。SpO2 の記述から、COPD が進行していると考えられます。選択肢 1,2,5 を誤りと判断したい問題です。
選択肢 1 ですが
アテノロールは、β 遮断薬です。気管支収縮方向に作用するので、不適切です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
ロキソプロフェンは、NSAIDs です。痛み止めです。使用理由が記述から見当たらず、不適切です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
ウメクリジニウム臭化物は、長時間作用性の抗コリン薬です。長時間作用抗コリンを 「LAMA」と略します。 ドライパウダー吸入剤です。単剤は商品名エンクラッセ、ビランテノールとの合剤は商品名アノーロエリプタです。
選択肢 4 は妥当です。
インダカテロールマレイン酸塩は、長時間作用性吸入β2刺激薬です。長時間作用β2刺激を「LABA」と略します。商品名はオンブレスです。
選択肢 5 ですが
硝酸イソソルビドは、狭心症治療薬です。使用理由が記述から見当たらず、不適切です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
問259
選択肢 1,2 ですが
COX 阻害や GC 活性化ではありません。選択肢 1,2 は誤りです。
選択肢 3,4 は妥当です。
選択肢 3 はウメクリジニウム、選択肢 4 はツロブテロールやインダカテロールと対応しています。
選択肢 5 ですが
炎症抑制を作用機序とする薬ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
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