問 題
70歳男性。10年前から2型糖尿病と前立腺がんに罹患し治療を受けている。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断を受け、治療中である。
今回友人より、「あなたは70歳だけど肺炎球菌ワクチンの接種をしないのか」と聞かれ、ワクチン接種の相談に薬局を訪れた。患者はインフルエンザワクチンを接種したことはあるが、肺炎球菌ワクチンを接種した経験はなかった。
問226
薬剤師はこの患者からワクチンについて相談を受けた。この患者に接種が検討される肺炎球菌ワクチンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- このワクチンは、肺炎球菌の病原性を弱毒化した生ワクチンである。
- このワクチンには、血清型の異なる肺炎球菌の莢膜多糖が含まれている。
- この患者には、予防接種法による集団予防を目的として肺炎球菌ワクチンが接種される。
- このワクチンは、ジフテリア毒素がアジュバントとして結合しているので、ジフテリアの予防もできる。
- ワクチン接種後、この患者に健康被害が生じた場合、予防接種健康被害救済制度により救済措置を受けることができる。
問227
肺炎球菌ワクチン及びこの患者のワクチン接種に関する注意点について、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 糖尿病の治療中のため、肺炎球菌ワクチンの接種不適当者である。
- 前立腺がんの治療中のため、肺炎球菌ワクチンの接種不適当者である。
- 肺炎球菌ワクチンは、室温保存できる。
- 肺炎球菌ワクチンは、筋肉内注射できる。
- インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンは混合して投与できる。
正解.
問226:2, 5
問227:4
解 説
問226
選択肢 1 ですが
肺炎球菌ワクチンは、不活化ワクチンです。(101-314315)。生ワクチンではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
選択肢 3 ですが
肺炎球菌ワクチンの予防接種は、肺炎球菌感染症の予防のために行います。肺炎球菌感染症は、インフルエンザと同様に、個人の発症又はその重症化の防止に比重を置くため、B 類疾病に分類されています。従って、「集団予防目的」としてのワクチン接種ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
ジフテリアの予防にもなる、ということはありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
予防接種健康被害救済制度についての記述です。
以上より、正解は 2,5 です。
問227
選択肢 1,2 ですが
糖尿病や前立腺がん治療中であっても接種できます。
選択肢 3 ですが
遮光を避けて、8 ℃以下、凍結を避けて保存です。ワクチンの保存方法は、基本的に、涼しい環境で遮光して保存です。
選択肢 4 は妥当です。
肺炎球菌ワクチンは、皮下注、筋注共に認可されています。
選択肢 5 ですが
予め混合されていないワクチンは、混合して投与は行いません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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