問 題
75歳男性。3年前にパーキンソン病と診断され、レボドパ100mg・カルビドパ配合錠 1日3錠、トリヘキシフェニジル塩酸塩錠2mg 1日3錠で薬物治療を継続していた。
3ヶ月前にレボドパ100mg・カルビドパ配合錠が1日5錠に増量になり(処方1)、さらに、今回から処方3が追加になった。処方2は、用法・用量の変更はなく継続中である。
問216
患者の家族が薬局に処方箋を持参した。薬剤師が家族に行う説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 処方1は胃腸障害を起こしやすいので、牛乳と一緒に服用しても構いません。
- 体の一部が自然に動いてしまう不随意運動を抑えるため、処方3が追加になりました。
- 処方3の影響で、暴食を繰り返すような行動が現れることがあるので、そのような症状が現れた場合は主治医に連絡してください。
- 処方3により眠気が現れることがあるので、自動車等の運転は避けるようにしてください。
- パーキンソン病の症状が改善されたら、直ちに処方3の薬剤の服用を中止してください。
問217
この患者に起きていると考えられる生体内変化はどれか。2つ選べ。
- 黒質から線条体に至るドパミン作動性神経の変性が進行した。
- 線条体におけるコリン作動性神経からのアセチルコリン放出が減少した。
- 線条体で放出されたドパミンの分解が低下した。
- 線条体におけるコリン作動性神経のドパミンによる抑制が減弱した。
- 末梢血液中のドパ脱炭酸酵素活性が低下した。
正解.
問216:3, 4
問217:1, 4
解 説
問216
選択肢 1 ですが
牛乳による服用で吸収に影響が出る可能性があります。適切ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
プラミペキソールは、ドパミン作動薬です。レボドパ・カルビドパの効きが悪くなっており、更にドパミン補充をする意図で処方されています。不随意運動は、ドパミン刺激による副作用です。従って、不随意運動を抑えるためという意図での処方追加とはいえません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3,4 は妥当です。
前兆のない突発的睡眠及び傾眠については、警告が出ています。
選択肢 5 ですが
減量が必要な場合は漸減します。急激な減量や中止は、悪性症候群や薬物離脱症候群があらわれることがあります。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
問217
選択肢 1 は妥当です。
パーキンソン病の症状は、錐体外路症状です。錐体外路症状は、ドパミン神経の抑制により引き起こされます。関係する神経経路は「黒質ー線条体系」です。(105-294)。
選択肢 2 ですが
ドパミン神経が関係しています。コリン作動性神経からのアセチルコリン放出ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ドパミン分解が低下したのであれば、ドパミンの作用が亢進します。ドパミン補充で治療する点から矛盾と判断できるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
アセチルコリンとドパミンのバランスの崩れが症状として表れます。
選択肢 5 ですが
ドパミン脱炭酸酵素活性が低下したのであれば、ドパミンの作用が亢進します。COMT 阻害薬が治療薬としてある点から矛盾と判断できるのではないでしょうか。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
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