問 題
抗血栓薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ダルテパリンは、アンチトロンビンと複合体を形成して第 Xa 因子よりもトロンビンを強く阻害する。
- アルガトロバンは、アンチトロンビン非依存的にトロンビンのセリンプロテアーゼ活性を可逆的に阻害する。
- ウロキナーゼは、フィブリンに対する親和性が高く、血栓上でプラスミノーゲンをプラスミンに変換する。
- トロンボモデュリンアルファは、プロトロンビンに結合してプロテインCを活性化する。
- チカグレロルは、ADP結合部位とは異なる部位に結合して ADP P2Y12 受容体を選択的かつ可逆的に遮断する。
解 説
選択肢 1 ですが
ダルテパリンはヘパリン類似物質です。アンチトロンビン III の作用を増強、セリンプロテアーゼ(トロンビン、第 Xa 因子等)の活性を抑制します。アンチトロンビン III によるトロンビン阻害作用に比べ、第 Xa 因子阻害作用が強いという特徴があります。(103-159)。「第 Xa 因子よりもトロンビンを強く阻害」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
アルガトロバンは、AT(アンチトロンビン)非依存性 抗トロンビン薬です。脳血栓症の急性期に用いられます。(101-29)。
選択肢 3 ですが
フィブリンに対する親和性が高いのは、アルテプラーゼなどの抗血栓薬です。ウロキナーゼもプラスミノーゲンをプラスミンに変換する抗血栓薬ですが、フィブリン親和性が小さいです。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
トロンボモデュリン アルファ(リコモジュリン)は、トロンビン依存的に活性化プロテインCの産生を促進します。(105-220221)。結合するのはトロンビンです。「プロトロンビンに結合して」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
抗血小板薬の流れとして、パナルジン→クロピドグレル→プラスグレル(エフィエント)、チカグレロル(ブリリンタ)という流れをおさえておくとよいです。
チカグレロルについて理解する前段階として、クロピドグレル(プラビックス)は、抗血小板薬です。CYP 2C19 による代謝を受けて活性代謝物になり、血小板表面の P2Y12 受容体に作用します。これをふまえ、チカグレロル(ブリリンタ)は代謝酵素による活性化が不要です。また、可逆的に作用するため手術の際の休薬期間が最短で 5 日ですむ という特徴を有します。(102-304305)。
以上より、正解は 2,5 です。
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