問 題
68歳男性。以前より便通の異常を自覚していた。病院を受診し、精査の結果、大腸がんが判明しStageⅣと診断された。病理検査の結果、RAS変異は陰性であった。また、UGT1A1*6のホモ接合体であった。
一次治療として、ベバシズマブ+CapeOX(カペシタビン+オキサリプラチン)療法が開始となった。薬剤師が行う薬学的関与として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ベバシズマブ投与に伴い、予防的な高血糖対策を実施するように医師に提案する。
- カペシタビン投与に伴い、手足症候群予防のために厚めの靴下を履くように患者に説明する。
- オキサリプラチン投与に伴い、冷たいものに触るとしびれを誘発することを患者に説明する。
- RAS変異が陰性のため、ベバシズマブの開始用量の増量を提案する。
- UGT1A1の遺伝子解析結果から、カペシタビンの開始用量の減量を提案する。
正解.2, 3
解 説
選択肢 1 ですが
高血糖が良く知られている分子標的薬は m-TOR 阻害薬などです。ベバシズマブは血管新生阻害なので、高血圧や出血などに注意が必要です。よって、選択肢 1 は適切ではありません。
選択肢 2,3 は妥当な記述です。
選択肢 4 ですが
RAS 変異があると、抗 EGFR 抗体薬の利益がないです。とはいえ、本症例での治療で用いられるベバシズマブは、抗VEGF 抗体です。関連ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
UGT1A1 の変異はイリノテカンを用いる時に考慮します。カペシタビンは関連ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
コメント