問 題
30歳女性。甲状腺機能亢進症に対し、チアマゾールで外来治療中に、無顆粒球症が発生し死亡に至った。なお、併用薬はない。
問318
この病院で安全管理を担当している薬剤師が取るべき対応として、法令上適切なのはどれか。2つ選べ。
- 製造販売業者には副作用等の報告義務があるので、副作用情報収集に積極的に協力した。
- 無顆粒球症は添付文書に記載されている既知の副作用なので、製造販売業者が行う情報収集には協力する必要はないと考えた。
- 医薬関係者には死亡日から15日以内に報告する義務があるため、直ちに死亡例について医薬品医療機器総合機構宛てに報告した。
- この副作用の発生に対しては、保健衛生上の危害の発生の防止又は拡大を防止するため、医薬品医療機器総合機構宛てに報告した上で、その調査に協力することにした。
- 医療機関には記録の保管義務があるため、副作用が生じた原因、その対応状況などについて記録を作成して、1年間保存することにした。
問319
本剤の添付文書には下記のような記述がある。無顆粒球症の副作用の発見のためには、白血球分画のうち、どの細胞の数を調べればよいか。1つ選べ。
【警告】
1.重篤な無顆粒球症が主に投与開始後2ヶ月以内に発現し、死亡に至った症例も報告されている。少なくとも投与開始後2ヶ月間は、原則として2週に1回、それ以降も定期的に白血球分画を含めた血液検査を実施し、顆粒球の減少傾向等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、一度投与を中止して投与を再開する場合にも同様に注意すること(「重大な副作用」の項参照)。
- リンパ球
- 単球
- 好酸球
- 好中球
- 好塩基球
正解.
問318:1, 4
問319:4
解 説
問318
選択肢 1 は妥当な記述です。
製造販売業者の報告義務は「企業報告制度」と呼ばれます。薬機法第 68 条の 10 です。
選択肢 2 ですが
既知副作用であっても情報収集協力義務があります。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
PMDA を窓口として、厚生労働大臣への報告義務があります。報告期限は特にありませんが、報告の必要性を認めた時は、適宜速やかな報告が望まれます。「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」と呼ばれます。薬機法第 68 条の 10 です。
選択肢 4 は妥当な記述です。
選択肢 5 ですが
「副作用に関する記録作成」は必要ないと考えられます。
以上より、問318 の正解は 1,4 です。
問319
顆粒球とは、好酸球、好中球、好塩基球の総称です。無顆粒球症は、特に好中球が減少する症状です。
以上より、問319 の正解は 4 です。
類題 103-292293
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