問 題
56歳男性、会社員。健康保険組合に加入しており、本人負担は3割である。現在、2型糖尿病と活動期の潰瘍性大腸炎のため、病院で治療を受けている。
治療中の潰瘍性大腸炎の薬の効果が実感できず、製薬企業から病院へ依頼があったプラセボを対照薬とする二重盲検法による治験に参加することになった。ただし、2型糖尿病の治療は、DPP-4阻害剤を服用しているが、当該疾患は治験の対象外である。
問316
治験コーディネーターが被験者へ説明した内容のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- 治験への参加は、いつでも取りやめることができます。
- プラセボが投与されることがあります。
- モニターなど製薬企業の関係者が、あなたのデータを見ることがあります。
- 希望すれば、治験中に実薬かプラセボのどちらを投与されているのかを教えてもらえます。
- 治験薬は、決められた用量と用法を守り、現在服用している薬以外は自己判断で併用しないでください。
問317
当該患者の治験実施期間内における診療費の取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 全ての診療費の項目が保険給付の対象になる。
- 治験は選定療養に該当するため保険給付との併用が認められる。
- 治験は評価療養に該当するため保険給付との併用が認められる。
- 治験は患者申出療養に該当するため保険給付との併用が認められる。
- 全ての診療費の項目が保険給付の対象から除外される。
正解.
問316:4
問317:3
解 説
問316
選択肢 1~3 は妥当な記述です。
選択肢 4 ですが
「二重盲検法による治験」とあるので、投与されているのがプラセボかどうかは教えられません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当な記述です。
以上より、問316 の正解は 4 です。
問317
保険診療と、それ以外の診療である「混合診療」だから、治験において「保険給付」は認められるのか?という問題設定です。
原則として、混合の場合、保険給付は認められません。例外は、保険外併用療養費制度です。「評価療養」、「選定療養」、「患者申出療養」の場合、保険給付が認められます。
評価療養の代表例が、治験の場合です。選定療養の代表例が、差額ベッド代を払う個室利用です。患者の希望でプラス α する療養と考えればよいです。患者申出療養の代表例は、治験対象外で、同治療の希望などです。混合診療の無制限の解禁ではなく、国民皆保険制度堅持を前提とした上で、先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするというシステムです。
選択肢 1,5 ですが
患者負担、企業負担、保険給付が混在することになります。よって、選択肢 1,5 は誤りです。
選択肢 2,3,4 ですが
治験は「評価療養」に該当します。よって、選択肢 3 が妥当です。
以上より、問317 の正解は 3 です。
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