薬剤師国家試験 第104回 問306-307 過去問解説

 問 題     

82歳男性。在宅で療養しており、てんかんのため処方1の薬剤を服用していたが、今回、処方2が追加となった。この患者は独居であり、薬剤師も参加して多職種による定期的なケアカンファレンスを行っている。

問306

これらの処方に関連した副作用の1つとして、スティーヴンス・ジョンソン症候群がある。薬剤師がケアカンファレンスで、他職種に確認して欲しいと伝えるべき初期症状の中で、緊急性が最も低いのはどれか。1つ選べ。

  1. のどの痛み
  2. 排尿・排便時の痛み
  3. 38℃以上の発熱
  4. 唇のただれ
  5. 筋肉のこわばり

問307

処方2の副作用である重篤な皮膚障害については、因果関係が否定できない死亡症例が短期間に複数報告されたことから、注意喚起がなされた。このような安全性情報を迅速に周知するために用いられる手段として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 安全性速報(ブルーレター)
  2. 医薬品インタビューフォーム
  3. 医薬品リスク管理計画(RMP)
  4. 医薬品医療機器情報配信サービス(PMDA メディナビ)
  5. 定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)

 

 

 

 

 

正解.
問306:5
問307:1, 4

 解 説     

問306

スティーブンス・ジョンソン症候群は、全身の皮膚、粘膜に紅斑や水疱ができてただれ、眼に結膜炎や角膜炎が発症する薬疹の一種です。熱、粘膜の痛み、ただれ、排尿、排便時の痛み、目の充血や、目が開けにくい といった症状が初期症状です。「筋肉のこわばり」については、緊急度が低いと考えられます。

以上より、問306 の正解は 5 です。

問307

選択肢 1 は妥当な記述です。
安全性速報(ブルーレター)とは、添付文書改訂の際迅速に注意喚起等が必要な場合に、厚生労働省からの指示や製薬企業の自主決定に基づき作成される文書等です。

選択肢 2 ですが
医薬品インタビューフォームは、添付文書(←法で規定された公文書)では不十分な製剤に関する情報等について製薬企業が作成する情報提供資料です。日本病院薬剤師会の依頼に基づき、製薬会社が作成・配布します。安全性情報を迅速に周知するための手段ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
医薬品リスク管理とは、開発から市販後までの一貫したリスク管理のことです。ひとつの文書に分かりやすくまとめたものを RMP(Risk Management Plan) と呼びます。安全性情報を迅速に周知するための手段ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。
PMDA による、メール配信サービスです。(今後は他の 手法になっていくのかも・・・?いつまで「メール」が使われるものか・・・?)

選択肢 5 ですが
定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)とは、販売後の医薬品のベネフィット とリスクに関する情報を定期的に報告するということです。安全性情報を迅速に周知するための手段ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、問307 の正解は 1,4 です。

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