問 題
66歳男性。身長168cm、体重51kg。胃がんによる胃全摘術後に中心静脈栄養法を実施している。糖尿病の既往があり、血糖値上昇が見られたため、インスリンを投与することになった。輸液セットは感染予防のためフィルターを組み込んだ閉鎖回路としている。
医師より「インスリン ヒト(遺伝子組換え)注射液100単位/mLを生理食塩液で希釈して50単位分調製し、投与する」よう指示があった。看護師から調製したインスリン注射液の投与法について質問があったため、薬剤師は、以下の模式図を書いて説明を行った。
問282
調製したインスリン注射液の投与法として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 輸液バック内液に添加して持続静注する。
- Aよりシリンジポンプで持続静注する。
- Aより急速静注する。
- Bよりシリンジポンプで持続静注する。
- Bより急速静注する。
問283
前問の投与法を選択した理由に最も深く関係する事象はどれか。1つ選べ。
- 希釈によるインスリンの自己会合の促進
- 輸液フィルターへのインスリンの吸着
- 輸液成分とインスリンの相互作用
- シリンジ内壁へのインスリンの吸着
- 輸液セット内でのインスリンの分解
正解.
問282:4
問283:2
解 説
問282
問283 とまとめて解説します。
問283
インスリン製剤は、輸液フィルターに吸着して含量低下するため、 B から投与します。
インスリンの1単位とは「健康な体重約 2Kg のウサギを 24 時間絶食状態にし、そのウサギにインスリンを注射して、3 時間 以内に痙攣を起こすレベル(血糖値:約 45 mg/dL)にまで血糖値を下げ得る最小の量」のことです。1回投与の場合、初期は 2 ~ 20 単位の投与です。1日あたりでの維持量が 4 ~ 100 単位です。 50 単位をもしも 1 回で急速静注すると、多すぎと考えられます。
以上より「Bから、持続静注」です。
問282 の正解は 4 です。
問283 の正解は 2 です。
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