問 題
60歳男性。高血圧の治療のため、内科から以下の薬剤が処方され服用していた。最近、薬剤の服用後にめまいやふらつきを感じることがあり薬局を訪れた。
問270
薬剤師がこの患者に聞き取りを行ったところ、最近、夜にグレープフルーツジュースを飲むようになったとのことであった。薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 今晩からグレープフルーツジュースの摂取を中止するように指導した。
- 明日からは、ニソルジピンの服用は中止するように指導した。
- 患者がグレープフルーツジュースを飲んでいることを医師に伝え、患者には受診するように指導した。
- 医師に、ベニジピン塩酸塩錠への変更を提案した。
問271
この患者におけるグレープフルーツジュース中の原因物質とニソルジピンの相互作用について、発現機序と考えられるのはどれか。1つ選べ。
- 小腸CYP3A4に対する競合阻害
- 小腸CYP3A4に対する共有結合による不可逆的阻害
- 肝臓CYP3A4に対する競合阻害
- 核内受容体を介した小腸CYP3A4の誘導
- 小腸P−糖タンパク質に対する競合阻害
正解.
問270:1, 3
問271:2
解 説
問270
ニソルジピンは、ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬です。CYP3A4 で代謝されます。グレープフルーツジュース(以下 GFJ と略)により、CYP3A4 が阻害されるため、血中濃度が高くなり、副作用が出やすくなる可能性が考えられます。
選択肢 1 は妥当な記述です。
選択肢 2,3 ですが
服用中止の指導はできません。めまいやふらつきの評価も含め、医師の判断をあおぐことが適切と考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。選択肢 3 は妥当な記述と考えられます。
選択肢 4 ですが
ベニジピンも CYP3A4 代謝なので、意味がない提案と考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。
以上より、問270 の正解は 2,3 です。
問271
グレープフルーツジュースによる阻害は「不可逆的阻害」です。摂取を中止しても、阻害効果が数日継続することが知られています。
以上より、問271 の正解は 2 です。
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