薬剤師国家試験 第104回 問242-243 過去問解説

 問 題     

73歳女性。友人に勧められたミネラルウォーターで医薬品を服用して良いか、かかりつけ薬剤師に相談した。そこで薬剤師は女性のお薬手帳を確認した。現在服用中の薬とミネラルウォーターの成分一覧は以下のとおりであった。

問242

このミネラルウォーターの総硬度(mg/L)はどれか。1つ選べ。ただし原子量は以下のとおりとする。

H 1.00、C 12.0、O 16.0、Na 23.0、K 39.1、Mg 24.3、Ca 40.0

  1. 110
  2. 140
  3. 300
  4. 1,100
  5. 1,400

問243

このミネラルウォーターで服用すると吸収に影響があると考えられる処方薬はどれか。2つ選べ。

  1. アレンドロン酸錠35mg
  2. ワルファリンK錠1mg
  3. グリメピリド錠1mg
  4. アセトアミノフェン錠300mg
  5. シプロフロキサシン錠200mg

 

 

 

 

 

正解.
問242:5
問243:1, 5

 解 説     

問242

硬度とは、水中の Ca2+、Mg2+ の量を、対応する炭酸カルシウム量で表したものです。
炭酸カルシウムが唐突に出てきていますが、これは「分子量がちょうど 100 の物質」ということです。つまり、Ca2+ 1mol/L → 100g、Mg2+ 1mol/L → 100g となおして計算します。

Ca が 44mg/100mL なので 440mg/L です。Ca の原子量が 40.0 なので 440mg/L ÷ 40 = 11m mol/L → 1100 mg/L となおす、ということです。同様に、Mg が 7.29mg/100mL → 72.9mg/L ÷ 24.3 → 3m mol/L → 300 mg/Lとなります。

2つを足したものが総硬度です。1100 + 300 = 1400 mg/L です。

以上より、問242 の正解は 5 です。

問243

選択肢 1 は妥当な記述です。
アレンドロン酸(ボナロン)は金属イオンとキレート形成するため、サプリメントや、硬度の高いミネラルウォーターなどでは服用しないように注意します。

選択肢 2 ~ 4 は吸収に影響がないと考えられます。

選択肢 5 は妥当な記述です。
シプロフロキサシンはニューキノロン系薬剤です。金属イオンとキレート形成し、不溶化→吸収低下が考えられます。

以上より、問243 の正解は 1,5 です。

参考)薬剤学まとめ 薬物動態に起因する相互作用

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