問 題
58歳男性。CD20陽性のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断され、R-CHOP療法による治療が行われることになった。
問236
R-CHOP療法時に用いられる注射剤のうち、ヒトで催奇形性又は発がん性が報告されている、あるいは疑われており、かつ揮発性を有するため、薬剤調製時に閉鎖式接続器具の使用が最も望ましいのはどれか。1つ選べ。
- リツキシマブ
- グラニセトロン塩酸塩
- シクロホスファミド水和物
- ドキソルビシン塩酸塩
- ビンクリスチン硫酸塩
問237
前問で選んだ薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 直接発がん物質である。
- ナイトロジェンマスタードの誘導体である。
- シトクロムP450により代謝的活性化を受け、DNAをアルキル化する。
- エポキシ体の形成を介してDNA付加体を形成する。
- 発がんプロモーション作用を有する。
正解.
問236:3
問237:2, 3
解 説
問236
抗がん剤、常温で気化とくれば、シクロホスファミドです。
以上より、問236 の正解は 3 です。
問237
選択肢 1,3 ですが
直接発がん物質とは、生体内で代謝的活性化を受けなくても作用を示す発がん物質のことです。シクロホスファミドは、代謝活性化を受けて、抗がん作用を示すアルキル化薬です。従って、選択肢 1 は誤りです。選択肢 3 は妥当な記述です。
選択肢 2 は妥当な記述です。
アルキル化剤の原型がナイトロジェンマスタードです。
選択肢 4 ですが
アルキル化剤は、DNA「架橋」形成を介した作用発現です。「エポキシ体」形成ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
発がんプロモーション作用とは、単独では発がん性を示さないがイニシエータと呼ばれる物質の作用の総称です。アルキル化剤は、発がん作用を有します。よって、選択肢 5 は誤りです。
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