問 題
60歳男性。体重50kg、体表面積1.5m2。再発直腸がんで外来通院しながら以下の化学療法(処方1、2)を受けることになり、化学療法施用当日の夕方17時に来院した。医師の指示のもと薬剤師が施用準備のため安全キャビネットでオキサリプラチン点滴静注液を輸液Aで希釈した。
施用直前に患者が体調不良を訴えたため、翌日10時に再来し施用することになった。看護師は薬剤師に輸液Aで希釈したオキサリプラチン点滴静注液が翌日使用できることを確認し、速やかに冷所保存した。
問206
薬剤師がオキサリプラチン点滴静注液の希釈に用いた輸液Aはどれか。1つ選べ。
- 5%ブドウ糖注射液 250mL
- 乳酸リンゲル液 500mL
- 生理食塩液 250mL
- 7%炭酸水素ナトリウム注射液 250mL
- ビタミンB1・糖・電解質・アミノ酸液 500mL
問207
オキサリプラチンの配位子及び配位子交換に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- オキサリプラチンは配位子交換を原因とする配合変化を受ける。
- 配位子Aよりも配位子Bの方が交換しやすい。
- 配位子交換の起こりやすさは、交換相手となる配位子の種類、溶媒のpH及び温度に依存する。
- DNA塩基との間で配位子交換を通じて架橋構造を形成することにより、抗がん活性を示す。
- 配位子Bは、3つの立体異性体のうちの1つである。
正解.
問206:1
問207:2
解 説
問206
オキサリプラチンは、Cl– を含む溶液で分解します。また、塩基性溶液により分解します。従って「ブドウ糖溶液による希釈」です。
以上より、問206 の正解は 1 です。
問207
選択肢 1 は妥当な記述です。
選択肢 2 ですが
COO なので、2つの酸素原子に電荷が非局在化している A よりも、B の窒素原子上の孤立電子対の方が、より強固な配位結合を構成していると考えられます。つまり、 A の方が緩い結合なので、交換しやすいのは配位子 A と考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ~ 5 は妥当な記述です。
不斉炭素2つで、立体異性体が 4つと見せかけて、対称面があるため、2つがメソ体で同一です。そのため、全部で3つの立体異性体と考えられます。
以上より、問207 の正解は 2 です。
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