問 題
ある固体薬物Aに粉砕や再結晶などの処理を行ったところ、下図の粉末X線回折パターンを示す固体a、b、cが得られた。別の方法で再結晶を行ったところ、異なる回折パターンを示す固体dが得られた。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
ただし、粉末X線回折測定に必要な前処理により、薬物Aの化学変化や固体組成の変化は生じないものとする。
- 固体a~dの回折パターンを比較することにより、それぞれの結晶の外観の相違を判断できる。
- 固体aと固体bの回折パターンを比較することにより、固体aの水分量は固体bより多いことが判断できる。
- 固体aと固体dの回折パターンから、両者の結晶の単位格子の大きさが異なっていることが判断できる。
- 固体bと固体dは、結晶多形の関係にあると判断できる。
- 固体cの回折パターンから、本品の結晶性は著しく低いことが判断できる。
正解.4, 5
解 説
粉末 X 線回折パターンでわかるのは、粉末の結晶がどのような構造をしているか、結晶の純度といった情報です。
選択肢 1 ~ 3 ですが
「外観の相違」は、肉眼でわかることですが、X 線回折パターンからはわかりません。
「水分量」について、このパターンから読み取ることはできません。
ピークが見られる 2θ の位置が a と d は完全に一致しています。よって、単位格子の大きさは同じと考えられます。
選択肢 4,5 は妥当な記述です。
以上より、正解は 4,5 です。
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