薬剤師国家試験 第104回 問171 過去問解説

 問 題     

コロイド分散系の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 疎水コロイドの安定性は、粒子間のファンデルワールス引力と静電反発力の総和で評価できる。
  2. 疎水コロイドに電解質が共存すると粒子表面の電気二重層は厚くなり、分散状態は不安定となる。
  3. 疎水コロイドの電荷と反対符号のイオンの価数が大きくなるほど、凝析価(mol/L)は大きくなる。
  4. 親水コロイドに対する同濃度の1価陽イオンの塩析作用の強さは、K+ > Na+ > Li+である。
  5. 親水性の高分子コロイドにアルコールを添加すると、コロイドに富む液相と乏しい液相の2つに分離するコアセルベーションが起こる。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
疎水コロイドが分散しているのは、溶液中のイオンの間に電気二重層ができるからです。この膜がもし厚くなるのなら、分散をより促進するはずです。しかし、疎水コロイドに電解質を入れると、わずかな電解質で凝析することは基礎知識です。従って「厚くなる」は明らかに誤りと判断できるのではないでしょうか。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
イオンの価数が大きいほど、わずかな量で凝析します。凝析価とは、凝析させることができる添加物の最小濃度のことです。価数が大きいほど、凝析価は小さくなります。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
同じ価数なら、イオン半径が小さい方がより取り囲みやすいと考えれば、Li+ > Na+ > K+ です。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 1,5 です。

参考)製剤学まとめ 代表的な分散系

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