問 題
52歳男性。腰痛のためロキソプロフェンNaを服用している。全身倦怠感が続いたため受診した。検査の結果、薬物の長期服用による慢性肝疾患が疑われ入院した。肝機能に関する検査値は以下の通りである。ただし、( )内は正常上限値とする。
AST 1,260IU/L (35)、ALT 1,330IU/L (35)、ALP 264IU/L (330)、T-Bil 0.9mg/dL (1.0)、γ-GTP 40IU/L (50)
薬物性肝障害の種類は以下のように分類される。
この患者の治療に推奨する薬物はどれか。2つ選べ。
- タウリン
- ウルソデオキシコール酸
- グリチルリチン酸
- ソホスブビル
- リバビリン
正解.2, 3
解 説
ALT > 2N( = 70 ) かつ ALP ≦ N (330) なので、肝細胞障害型とわかります。
選択肢 1 ですが
タウリンは、肝・循環機能改善剤です。高ビリルビン血症における肝機能改善に用いられます。ビリルビンは基準値内です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 は、正しい記述です。
選択肢 4,5 ですが
これらの薬剤は C 型肝炎治療薬です。薬物性肝障害には用いられません。よって、選択肢 4,5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
ちなみに、ソホスブビルは核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤です。プロドラッグです。肝細胞内でカルボキシルエステラーゼ(CES1)などによる代謝を受け活性代謝物ウリジンアナログ-3リン酸となり薬効を発揮します。
リバビリンは、インターフェロンとの併用で効果を発揮する抗ウイルス薬です。
コメント