薬剤師国家試験 第103回 問333 過去問解説

 問 題     

52歳男性。腰痛のためロキソプロフェンNaを服用している。全身倦怠感が続いたため受診した。検査の結果、薬物の長期服用による慢性肝疾患が疑われ入院した。肝機能に関する検査値は以下の通りである。ただし、( )内は正常上限値とする。

AST 1,260IU/L (35)、ALT 1,330IU/L (35)、ALP 264IU/L (330)、T-Bil 0.9mg/dL (1.0)、γ-GTP 40IU/L (50)

薬物性肝障害の種類は以下のように分類される。

この患者の治療に推奨する薬物はどれか。2つ選べ。

  1. タウリン
  2. ウルソデオキシコール酸
  3. グリチルリチン酸
  4. ソホスブビル
  5. リバビリン

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

ALT > 2N( = 70 ) かつ ALP ≦ N (330) なので、肝細胞障害型とわかります。

選択肢 1 ですが
タウリンは、肝・循環機能改善剤です。高ビリルビン血症における肝機能改善に用いられます。ビリルビンは基準値内です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 は、正しい記述です。

選択肢 4,5 ですが
これらの薬剤は C 型肝炎治療薬です。薬物性肝障害には用いられません。よって、選択肢 4,5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

ちなみに、ソホスブビルは核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤です。プロドラッグです。肝細胞内でカルボキシルエステラーゼ(CES1)などによる代謝を受け活性代謝物ウリジンアナログ-3リン酸となり薬効を発揮します。

リバビリンは、インターフェロンとの併用で効果を発揮する抗ウイルス薬です。

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