薬剤師国家試験 第103回 問327 過去問解説

 問 題     

26歳男性。1日数回の下痢を繰り返し、また、血便が出ていたので近医を受診した。検査の結果、潰瘍性大腸炎と診断され、メサラジン錠を用いた治療を開始した。2年後、出血性下痢の増加と腹痛を認めるようになり、薬物はメサラジン錠とプレドニゾロン錠の併用に変更になった。

この患者の病態と薬学的管理について適切でないのはどれか。2つ選べ。

  1. 服用困難な場合には、メサラジン錠を粉砕する。
  2. 感染症にかかりやすい。
  3. メサラジンの副作用として、消化器症状に気をつける。
  4. 定期的に大腸癌の検査を受ける。
  5. メサラジン錠服用により、潰瘍性大腸炎の完治が期待できる。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

潰瘍性大腸炎は、慢性の炎症性疾患の一つです。抗炎症薬などを用いて寛解状態を維持し、再発を予防するという治療戦略がとられます。

メサラジンは、5-アミノサリチル酸です。サラゾスルファピリジンの副作用が出ないように改良された薬です。胃で溶けず、腸で有効成分が放出されるような製剤となっています。従って、粉砕は不可です。

以上より、正解は、1,5 です。

選択肢 2 ですが
プレドニゾロン使用により易感染性となります。手洗い、うがいなどを励行します。

選択肢 3 ですが
胃もたれ、下痢等の症状が副作用として出ることがあります。

選択肢 4 ですが
潰瘍性大腸炎は発症して長期間たつと、大腸がんのリスクが高くなることが知られています。早期発見のため、定期的に検査を受けることが求められます。

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