問 題
24歳男性。悪性リンパ腫に対して外来化学療法を実施予定である。外来化学療法室で、薬剤師がレジメンチェックを行った。
問286
医師に確認又は提案すべき内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- リツキシマブ注射剤の投与前に、B型肝炎ウィルス感染の有無を確認する。
- シクロホスファミド水和物注射剤の投与後は、しびれなどの末梢神経障害の発現に注意する。
- ドキソルビシン塩酸塩注射剤の投与が長期化する際には、総投与量(累積投与量)に注意する。
- ビンクリスチン硫酸塩注射剤の投与後は、出血性膀胱炎の発現に注意する。
問287
R-CHOP療法の実施により、急に尿量の減少と浮腫を認めたため外来受診した。その際に血液検査で認められる異常所見として可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
- 高尿酸血症
- 低カリウム血症
- 高ナトリウム血症
- 高カルシウム血症
- 高リン血症
正解.
問286:1, 3
問287:1, 5
解 説
問286
選択肢 2,4 ですが
薬剤 もしくは 注意する症状が逆になっています。
シクロホスファミドの注意すべき代表的副作用は出血性膀胱炎です。末梢神経障害が知られている薬剤としては、パクリタキセル、ビンクリスチン、シスプラチンなどです。よって、選択肢 2,4 は誤りです。
以上より、問286の正解は 1,3 です。
問287
抗がん剤の使用により、がん細胞が大量に死滅します。その結果、血中に大量の核酸等が大量放出されます。これにより DNA等の「核酸系」の物質が上昇します。また、細胞「内」に多く存在するイオン濃度が、細胞外に漏出することにより上昇します。細胞の死滅 という観点から考えると判断しやすいと思います。
増加するものとしては、尿酸、リンなどです。また、リン濃度の上昇に伴いリンと Ca が結合することで血中 Ca 濃度は低下します。さらに、細胞内により多く存在する K+ イオン濃度が上昇します。
以上より、問287 の正解は 1,5 です。
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