問 題
86歳女性。骨粗しょう症で整形外科を受診し薬物治療を受けている。服用している薬剤は以下のとおりであった。
しかし、最近になりアレンドロン酸ナトリウム錠が大きいために嚥下が困難になったので、薬局を訪れた。担当した薬剤師が医師に連絡したところ、次回より以下の処方に変更することになった。
問280
処方箋を受け取った薬剤師は、すでに服用している錠剤の基本的な服用法を患者に対して再確認した。次に、このゼリー剤で注意することについて、新たに追加説明を行うことにした。その追加の内容として適切なのはどれか。1つ選べ。
- 起床してすぐにコップ一杯の水で服用すること。
- 口の中で噛んだり、溶かしたりしないこと。
- 服用後、少なくとも30分たってから食事を摂ること。
- 低温(冷蔵庫など)を避けて保存すること。
- カルシウムやマグネシウム等の含量が特に高い飲料で服用しないこと。
問281
本経口ゼリー剤の添加剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
なお、本経口ゼリー剤には、添加剤としてカラギーナン、ローカストビーンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、D-ソルビトール、クエン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピルが含まれる。
- カラギーナンは、種類によってカルシウムイオンやカリウムイオンでゲル化するものがある。
- ローカストビーンガムは、保存剤として添加されている。
- ポリアクリル酸ナトリウムは、主薬の酸化に対する安定性を高める。
- クエン酸ナトリウムは、乳化剤として添加されている。
- パラオキシ安息香酸プロピルは、増粘剤として添加されている。
正解.
問280:4
問281:1
解 説
問280
アレンドロン酸服用時の使用上の注意として、食道などに付着したままだと局所刺激症状をおこすおそれがある点があります。そのため、噛んだりせず、そのままコップ1杯程度の多めの水での服用を指導します。
又、服用後最低30分は、横にならずさらに、食事等を行わないように指導します。(これらは、食道などへの薬の残留を防ぐためです。又、胃に何か入っていると吸収が悪くなるためです。)
週1回服用でよく、飲み忘れて食事をとった場合は翌日に服用すればよいです。金属イオンとキレート形成するため、サプリメントや、硬度の高いミネラルウォーターなどでは服用しないように注意します。
これらの注意に加えて、ゼリー状なので冷蔵庫に保存しようとするかもしれません。しかし、低温では有効成分の結晶が析出しやすくなるので冷蔵庫に保管するのは避けるよう指導します。
以上より、問280 の正解は 4 です。
問281
選択肢 1 は、正しい記述です。
選択肢 2 ですが
ローカストビーンガムは、安定剤です。保存剤ではありません。
選択肢 3 ですが
ポリアクリル酸ナトリウムは、吸水性高分子です。乳化安定剤として用いられていると考えられます。抗酸化剤ではありません。
選択肢 4 ですが
クエン酸ナトリウムは抗酸化作用を助ける役割を担います。(「シネルギスト」の一種。シネルギストとは食品添加物の作用に対して効果を増強させる作用を示す物質)乳化剤ではありません。
選択肢 5 ですが
パラオキシ安息香酸プロピルは保存剤です。増粘剤ではありません。
以上より、問281の正解は 1 です。
コメント