薬剤師国家試験 第103回 問151 過去問解説

 問 題     

筋細胞に存在する異なった標的分子に働き、収縮又は弛緩に対して協力的に作用する薬物の組合せはどれか。2つ選べ。

  1. 膀胱平滑筋(排尿筋)細胞におけるアセチルコリンとベタネコール
  2. 眼の毛様体平滑筋細胞におけるトロピカミドとアトロピン
  3. 血管平滑筋細胞におけるニトログリセリンとシルデナフィル
  4. 心筋細胞におけるメトプロロールとベラパミル
  5. 子宮平滑筋細胞におけるジノプロストとリトドリン

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
アセチルコリンとベタネコールは共にコリン作動薬です。膀胱平滑筋を収縮させます。同じ標的分子に働く組合せなので選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
共に「トロピ」が入っている名前なので抗コリン薬 と判断するとよいです。毛様体は収縮するとレンズが厚くなる。抗コリン薬により、弛緩する。同じ標的分子に働く組合せなので選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は正しい記述です。
ニトログリセリンは硝酸薬です。硝酸薬を服用すると体内で NO(一酸化窒素)が遊離されます。NO は、血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼを活性化します。シルデナフィルはホスホジエステラーゼ(PDE)5を阻害し cGMP の分解を抑制します。共に結果的に cGMP 上昇に働き血管平滑筋を弛緩(拡張)させます。

メトプロロールは β 遮断薬です。ベラパミルは Ca 拮抗薬です。共に心筋の収縮抑制に働きます。

選択肢 5 ですが
ジノプロストは、プロスタグランジン F2a(PGF2a)系薬の1つです。PGF2a 受容体を刺激し、子宮収縮作用があります。リトドリンは、β2  刺激薬です。子宮筋弛緩作用があります。協力的に作用する組合せではないため選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3,4 です。
類題 101-151
参考 薬理学まとめ 交感神経系に作用する薬副交感神経に作用する薬
代表的な虚血性心疾患治療薬

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