問 題
油脂の変敗に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- オレイン酸のみを含む油脂より、リノール酸のみを含む油脂の方が酸化されやすい。
- 同じ条件で酸化したとき、γ-リノレン酸のみを含む油脂より、α-リノレン酸のみを含む油脂の方が、カルボニル価は著しく速く上昇する。
- 不飽和脂肪酸を含む油脂のヨウ素価は、酸化により上昇する。
- 酸化により油脂中の脂質ヒドロペルオキシドが増加すると、過酸化物価の測定において、滴定に要するチオ硫酸ナトリウムの量は減少する。
- 食品添加物として添加したビタミンEは、不飽和脂肪酸を含む油脂の過酸化物価の上昇を抑制する。
解 説
変敗とは、食品が本来の性質を失い食用に耐えられないような状態になることです。腐敗の他、酸化などを包括した概念になります。
油脂は、空気中の酸素と接触することで自動酸化を引き起こします。これが油脂の変敗の原因となります。
選択肢 1 は、正しい記述です。
不飽和が多い方が酸化しやすいです。オレイン酸は n-9 C18,二重結合1、リノール酸は n-6,C18,二重結合 2 です。※ n – ◯ とは、メチル基末端から数えた時の最初の二重結合が ◯ 番目にある、という意味です。
選択肢 2 ですが
γーリノレン酸は、n-6 C18,二重結合3です。αーリノレン酸は、n-3 C18,二重結合3です。二重結合の位置のみが違います。
油脂の酸化は、油脂→過酸化物→カルボニル化合物 と段階的に進行します。このカルボニル化合物を検出する試験の結果がカルボニル価です。二重結合の場所の違う油脂を含むだけで、酸化の速度が「著しく大きく」変化するとは考えられません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
不飽和=二重結合を含む と読み替えるとよいです。酸化することにより、二重結合が減るためヨウ素価は、酸化により減少します。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
ヒドロペルオキシドとは ROOH と表されます。過酸化物価の測定は、ROOH + KI → 遊離したヨウ素(I2)をチオ硫酸ナトリウムで滴定という流れです。従って、ROOHが増えれば、その分滴定に用いるチオ硫酸ナトリウムの量は増加します。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。
以上より、正解は 1,5 です。
参考 衛生薬学まとめ 油脂の変敗
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