問 題
図は、タンパク質加水分解酵素キモトリプシンの酵素活性部位における相互作用を模式的に示したものである。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- His57とSer195との間の相互作用は、Ser195のヒドロキシ基の求核性を高めている。
- Asp102とHis57との間の相互作用は、His57のイミダゾリル基の塩基性を低下させている。
- 疎水性ポケットと基質タンパク質との間の相互作用は、酵素の基質特異性を高めている。
- Ser195のヒドロキシ基は、基質タンパク質をプロトン化することによって、ペプチド結合の切断を容易にしている。
正解.1, 3
解 説
選択肢 1 は、正しい記述です。
His 57 の N 原子が Ser 195 の H を引き抜くことで、O– ができ、求核性が高まります。
選択肢 2 ですが
Asp102 により、His57 のイミダゾリル基の塩基性が「高」まります。これにより、His 57 の N 原子が Ser 195 の H を引き抜くことを可能にします。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい記述です。
選択肢 4 ですが
Ser 195 の ヒドロキシ基は、基質タンパク質のカルボニル基を攻撃し共有結合を一時的に作ります。基質タンパク質のプロトン化ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
ちなみに、57,102,195 は、キモトリプシンの触媒三残基として知られています。
以上より、正解は 1,3 です。
コメント