問 題
68歳男性。慢性閉塞性動脈硬化症における安静時疼痛に対し、アルプロスタジル注射液10μg(リピッドマイクロスフェア製剤)を輸液と混合し、持続投与することになった。病棟の看護師から、本剤の使用上の注意事項について薬剤師に問い合わせがあった。
問280
本剤の特徴に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- リン脂質の二重膜構造からなる閉鎖小胞で、脂溶性のアルプロスタジルはリン脂質二重膜の疎水部に封入されている。
- 植物性油をレシチンで乳化したo/w型エマルションであり、脂溶性のアルプロスタジルは油滴内に封入されている。
- 血中滞留性の向上を目的として、粒子表面がポリエチレングリコールで修飾されている。
- 能動的に炎症部位へ薬物を送達するために、粒子表面が炎症細胞を認識する抗体で修飾されている。
- 受動的ターゲティングにより、炎症部位へ薬物が送達される。
問281
本剤を使用するにあたり、薬剤師が看護師に行うべき情報提供として適切なのはどれか。2つ選べ。
- すぐに使用しない場合は、凍結させて保存する。
- ライン内での凝集を防ぐため、必ず単独ラインで投与する。
- 凝集を防ぐため、電解質を含む輸液で希釈しない。
- 輸液フィルターを使用して投与する。
- ポリ塩化ビニル製の輸液セットの使用を避けることが望ましい。
正解.
問280:2, 5
問281:2, 5
解 説
問280
選択肢 1 ですが
これはリポソームについての記述です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。
選択肢 3 ですが
これは PEG 製剤についての記述です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
リピッドマイクロスフェアとは、選択肢 2 にあったように油をレシチンで乳化したエマルジョンです。表面が抗体で修飾されているわけでは、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。
ちなみに、受動的に対応して、能動的ターゲティングというものもあります。これは、抗体などを用いたターゲティングのことです。
以上より、正解は 2,5 です。
問281
選択肢 1 ですが
一般的に、注射剤は凍結を避けます。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。
選択肢 3 ですが
電解質溶液で凝集といえばコロイド製剤です。代表例は、注射用アムホテリシン B です。本剤においては適切な情報提供ではないと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
粒子がフィルター孔径よりも大きいため、用いません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。
可塑剤溶出のおそれがあるためです。
以上より、正解は 2,5 です。
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