薬剤師国家試験 第102回 問181 過去問解説

 問 題     

ネフローゼ症候群の治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 初期治療の基本は副腎皮質ステロイド薬である。
  2. タンパク尿改善と静脈血栓予防に抗血小板薬が用いられる。
  3. 浮腫の改善には抗アルドステロン薬が第1選択薬となる。
  4. 高カリウム血症を併発するときは球形吸着炭が用いられる。
  5. 高コレステロール血症が持続する場合はエゼチミブが第1選択薬となる。

 

 

 

 

 

正解.1, 2

 解 説     

ネフローゼとは、腎障害によるタンパク透過性亢進に基づく、大量タンパク尿+低タンパク血症 を特徴とする症状のことです。むくみなどがあらわれます。

腎障害なので、Na+/K+ の交換が不十分です。この交換とは、Na+ を原尿側から血液側へ、K+ を血液側から原尿側へと動かす流れです。つまり、Na+ は血液へ再吸収されず体外へ排出されるので低 Na、K+ は原尿側へと動かないから高 K となります。

選択肢 1,2 は、正しい記述です。
※抗血小板薬(ジラゼプ塩酸塩、ジピリダモール)です。
※※2017 ネフローゼ症候群診療ガイドラインによれば、タンパク尿、血栓予防としての抗血小板薬使用は推奨されてはいません。

選択肢 3 ですが
むくみに対してはフロセミドなどの利尿薬が用いられます。K 保持してしまう抗アルドステロン薬 が第1選択ではありません。

選択肢 4 ですが
球形吸着炭とは、クレメジン等のことです。慢性腎不全に対して、透析導入を遅らせる効果があります。高 K 血症に対しての適用はありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
高コレステロールに対しては、スタチンが第1選択となります。小腸コレステロールトランスポーター阻害薬であるエゼチミブは、スタチンで十分コレステロール低下できなかった時に相乗効果を期待して用いられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,2 です。

コメント