問 題
ヒトの体内で働くタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 膵臓から分泌されるキモトリプシンは、タンパク質のC末端から順次アミノ酸を遊離する。
- トリプシンの触媒作用には、その活性部位にあるセリン残基が関与する。
- トリプシノーゲンは、十二指腸上皮細胞から分泌されるエンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼともよばれる)により小腸内でトリプシンに変換される。
- アンチトロンビンⅢは、主として血管内皮細胞から分泌され、トロンビンの活性を阻害する。
- 組織プラスミノーゲンアクチベーターは、血液凝固反応で形成されたフィブリンの分解反応を触媒する。
正解.2, 3
解 説
選択肢 1 ですが
キモトリプシンは、エンドペプチダーゼです。すなわちタンパク質「内部」のペプチド結合を切断します。イメージとしては、ざく切りです。とりあえず小さくする感じです。
一方、タンパク質「末端」から順次切断するのはエキソペプチダーゼです。イメージとしては、せん切りです。端っこから均等に切っていく感じです。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 は正しい記述です。
選択肢 4 ですが
アンチトロンビンは、主として「肝臓」で作られます。トロンビンの活性を阻害するという記述は正しいです。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
組織プラスミノーゲンアクティベーター(tpa)はフィブリン分解の触媒ではなく、プラスミノーゲンを活性化させることにより、活性型プラスミンを生成する反応の触媒として働きます。この活性型プラスミンが、フィブリンを分解します。
つまり、フィブリン分解反応における活性化エネルギーを低下させる(=触媒として働く)わけではなく、フィブリンを分解させる物質の生成反応を促進させる物質である、ということです。従って、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
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