問 題
薬剤師は疾病予防にも関わるべきであり、ワクチンに関する知識を深める必要がある。
問220
薬剤師として知っておくべきワクチンに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 麻疹、風疹、水痘及びおたふくかぜのワクチン接種不適当者には妊婦が含まれる。
- B型肝炎ワクチンは抗体価を検査しながら複数回接種することがある。
- 副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤を服用している患者では、生ワクチンの接種ができない場合がある。
- インフルエンザワクチンは、卵アレルギーの人に対しては注意して接種する。
- 結核に対する抗体がない場合は、ツベルクリンを接種する。
問221
予防接種に用いる抗原(ワクチン)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ウイルスに対する生ワクチンは、接種後の免疫応答能を高めるため、天然に存在するウイルスの毒性をより高めたものである。
- 我が国におけるインフルエンザワクチンの主成分は、ウイルスから分離・精製したノイラミニダーゼを不活化したものである。
- ワクチンの中には、病原体構成成分の組換え体タンパク質を主成分とするものがある。
- トキソイドは、病原体が産生する毒素を、免疫原性を残したまま無毒化したものである。
正解.
問220:5
問221:3, 4
解 説
問220
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
妊婦のワクチンで禁忌といえば、生ワクチンです。麻疹、風疹、水痘及びおたふくかぜの予防接種で用いられるのは生ワクチンです。よって、妊婦は接種不適当です。
選択肢 2 は、正しい選択肢です。
抗体価をある程度以上にすることで、良好な免疫記憶形成を図ります。
選択肢 3は、正しい選択肢です。
感染の危険性をふまえて判断されます。
選択肢 4 は、正しい選択肢です。
インフルエンザワクチンには、製造過程において鶏卵を用いるために卵の成分がごく少量含まれています。アレルギー反応が出ないわけではないので注意して接種を行います。
選択肢 5 ですが
ツベルクリンとは、結核にかかったことがあるかを調べる検査液です。結核菌の持つタンパク質を精製したものが実体です。かつてはツベルクリン検査(ツベルクリンを注射する)し、陰性(注射された部位が、それほど膨らまない = ツベルクリンに対して抗原抗体反応を示さない = まだ結核にかかったことがない)であれば、ワクチン接種により免疫記憶形成を図りました。この時用いられるワクチンが BCG です。(制度変更により現在では、いきなり BCG です。)
抗体がないかどうか を検査するのがツベルクリンです。抗体がない場合に接種するのは BCG です。従って、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 5 です。
問221
選択肢 1 ですが
生ワクチンとは、天然に存在するウイルスの毒性を「弱めた」もの です。高めたものでは、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
インフルエンザワクチンの主成分は、ヘマグルチニン です。ノイラミニダーゼでは、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい選択肢です。
B型肝炎ワクチンが代表例です。
選択肢 4 は、正しい選択肢です。
トキソイドとは何か と聞かれたら、免疫原性を残して無毒化した毒素のことぐらいで覚えておけるといいです。
以上より、正解は 3,4 です。
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