薬剤師国家試験 第101回 問212-213 過去問解説

 問 題     

63歳女性。日曜日の午後、急に左耳が聞こえにくくなった。翌朝まで様子をみたが改善しなかったため、近隣の耳鼻科を受診したところ、突発性難聴と診断された。以下の薬剤が処方され、保険薬局に来局した。

問212

薬剤師が服薬指導する内容の記述として適切でないのはどれか。2つ選べ。

  1. 寝つきが悪くなることがあります。
  2. 難聴の症状が改善すれば、プレドニゾロン錠は途中で服用を中止しても構いません。
  3. プレドニゾロン錠は、朝食後6錠、昼食後4錠、夕食後2錠を3日間服用してください。
  4. メコバラミン錠は光に弱い薬です。光を避けて保管してください。
  5. テプレノンカプセルは胃粘膜を保護する薬です。

問213

プレドニゾロンの確認試験に赤外吸収スペクトルが利用できる。以下の記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 吸収帯Aはヒドロキシ基に由来する。
  2. 吸収帯BはC-O単結合に由来する。
  3. 吸収帯Cはカルボニル基に由来する。
  4. 吸収帯DはC-H結合に由来する。

 

 

 

 

 

正解.
問212:2, 3
問213:1, 3

 解 説     

問212

選択肢 1 は正しい選択肢です。
入眠障害がおこりうることが知られています。

選択肢 2 ですが
ステロイド離脱を避けるために漸減しているので、途中で中止してはいけません。よって、選択肢 2 は適切ではありません。

選択肢 3 ですが
処方1 が、最初の3日間、処方2 が、次の3日間、処方3 が、さらに次の3日間 の飲み方です。よって、選択肢 3 は適切ではありません。

選択肢 4,5 は、正しい選択肢です。

以上より、正解は 2,3 です。

問213

選択肢 1 は正しい記述です。
ヒドロキシ基は 3,200~3,600cm-1 くらいのところに吸収が見られます。

選択肢 2 ですが
3,000cm-1 弱のところあるのは C-H 単結合に由来します。C-O 単結合は 1,100~1,200cm-1 あたり(覚えなくていいです)に見られますが、ここは指紋領域なので判別不能です。

IR の吸収位置は重要なものだけを抑えておけば問題が解けるようになっているので、この選択肢でいえば C-O 単結合の吸収位置は知らなくても良いです。C-H 単結合の吸収位置を抑えておく必要があります。

選択肢 3 は正しい記述です。
カルボニル基は1,650~1,800cm-1 くらいのところに吸収が見られます。

選択肢 4 ですが
1,500~1,650cm-1 くらいのところに吸収が見られるのは、C=C 二重結合由来です。選択肢 3 と合わせて考えると、1650cm-1 を境により大きければカルボニル基、より小さければ二重結合となります。

吸収帯 D はちょうど 1,650cm-1 くらいなので判断が難しいですが、少なくとも選択肢にあるC-H結合ではありません。C-H 単結合は、選択肢 2 の解説の通り、3,000cm-1 弱に出てきます。

ちなみに、この化合物(プレドニゾロン)の構造式を見ればカルボニル基が2つ、C=C 二重結合が 2 つあるとわかります。よって、1,600cm-1 付近の2つの吸収帯が、C=C 二重結合に由来すると判断できるため、吸収帯 C のほか、1,650cm-1 付近の吸収帯 D もカルボニル基に由来すると考えることができます。

以上より、正解は 1,3 です。

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