薬剤師国家試験 第101回 問181 過去問解説

 問 題     

72歳男性。1年前より、一定の距離を歩行すると右のふくらはぎ(腓腹筋)に痛みを感じていたが、歩行をしばらく中止すると改善するので、放置していた。1ヶ月前から次第に症状が悪化してきたため、近医を受診した。

このとき測定した血圧は、以下の通りであった。またMRIで右総腸骨動脈に閉塞を認めた。この患者に対する治療薬について、医師から薬剤師に相談があった。提案すべき適切な薬剤はどれか。2つ選べ。

(血圧)
左 上腕 138/72mmHg  足関節 152/78mmHg
右 上腕 134/70mmHg  足関節 94/52mmHg

  1. ワルファリンカリウム
  2. シロスタゾール
  3. ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
  4. リバーロキサバン
  5. サルポグレラート塩酸塩

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

本問において、血圧が両手両足で測定されています。ここから ABI (ankle brachial index) を算出できます。ABI とは 「足首の最高血圧 ÷ 上腕の最高血圧」です。健康であれば、足首の方が少し高くなります。ABI が、0.9 よりも小さいと動脈の閉塞が考えられます。本問症例では、右側の ABI が低いことが特徴的です。主訴の右ふくらはぎの痛み や MRI の結果と符号します。

さて、選択肢の薬はどれもいわゆる「血液サラサラにする薬」です。大きく 2 つに分類されます。すなわち抗凝固薬 (ワーファリン等) と、抗血小板薬 (サルポグレラート等) です。

抗凝固薬は、心不全などの基礎疾患のもと、血栓ができやすくなっている時につかいます。一方、抗血小板薬は、動脈硬化が関与する血栓に対して用いられます。この使い分けは、血液をホースの中を流れる水、血管をホースと例えた時に、そもそも水が固まりやすくなっているなら抗凝固薬を用いる。ホースが細くなってたり、硬くなっているなら抗血小板薬を用いる。というイメージです。(両方用いることもあります。)

本問では、選択肢 1,3,4 が、抗凝固薬です。選択肢 2,5 が、抗血小板薬です。従って、検査結果をふまえ、抗血小板薬を提案することが適切であると考えられます。

以上より、正解は 2,5 です。

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