薬剤師国家試験 第101回 問113 過去問解説

 問 題     

酵素反応に関する説明を読んで以下の問に答えよ。

酵素の速度論的特性を解析するため、ミカエリス・メンテン(Michaelis-Menten)式より導かれる下記のラインウィーバー・バーク(Lineweaver-Burk)式から、図1が作成され汎用されている。

なお、vは反応初速度、Kmはミカエリス定数、Vmaxは最大速度(反応初速度vの最大値)、[S]は基質Sの濃度を表す。

ある酵素Xは基質Sに作用し、2種類の阻害剤YとZによって阻害される。一定濃度の阻害剤Y又はZの存在下及び非存在下で、酵素Xの基質Sに対する反応初速度vを測定し、図2を得た。以下の記述のうち正しい考察はどれか。2つ選べ。

  1. 阻害剤Yは、基質Sと結合して酵素Xの反応初速度vを変化させる。
  2. 基質Sの濃度[S]を十分に増加させたときの最大速度Vmaxは、阻害剤Yの有無に関わらず等しくなる。
  3. 阻害剤Zは、基質Sが結合する酵素Xの部位(基質結合部位)に結合する。
  4. 基質Sの濃度[S]を十分に増加させたときの最大速度Vmaxは、阻害剤Zが存在しても変化しない。
  5. 阻害剤Zが存在しても、酵素Xの基質Sに対する見かけの親和性は変化しない。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

ラインウィーバープロットにおいて拮抗阻害の場合、y 切片が変わらず、傾きが立ち上がります。一方、非競合の場合、x 切片が変わらず、傾きが立ち上がります。よって阻害剤 Y は、拮抗阻害、阻害剤 Z は、非拮抗阻害 であることがわかります。(参考 物理化学まとめ 酵素反応、拮抗阻害、非拮抗阻害)これをふまえて、各選択肢を検討します。

選択肢 1 ですが
阻害剤 Y は、拮抗阻害剤です。つまり Y は、「基質」と結合するのではなく、酵素の基質と結合する活性部位に結合します。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい選択肢です。
拮抗阻害なので、基質 S が十分大きければ阻害剤があっても、阻害剤なしの時と同様の最大速度を示します。

選択肢 3 ですが
非拮抗阻害なので、基質が結合する場所とは別の場所に結合して阻害します。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
非拮抗阻害なので、基質 S が十分大きくても阻害剤なしの時より最大速度は、落ちます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい選択肢です。
見かけの親和性とは Km のことです。x 切片が -1/Km を表すので変化がないとわかります。

以上より、正解は 2,5 です。

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