問 題
下図はヒトの排卵周期を示している。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、男性においてホルモンAは精巣でのテストステロン合成を促進する。
- 排卵周期の約14日におけるホルモンAの大量分泌が排卵を引き起こす。
- ホルモンBは黄体細胞に作用して、その細胞増殖を促進する。
- ホルモンAの大量分泌に先だったホルモンCの血中濃度の増加は、視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌を抑制する。
- 排卵周期14日以降では、ホルモンDが子宮内膜からの粘液の分泌を促進する。
- ホルモンCの血中濃度の増加は、排卵周期14日以降の基礎体温の上昇を引き起こす。
解 説
排卵については、前提として、卵巣という「現場」と、視床下部や下垂体がいる「会議室」という2つのステージがあることをイメージするとわかりやすいと思います。
そして、排卵に関連するホルモンも大雑把に2つにまず分けるとイメージしやすいです。1つめのグループは「ボスである視床下部から下垂体への指令」 により下垂体から出される、二種類の FSH(卵胞刺激ホルモン) 及び LH(黄体化ホルモン) というホルモン です。
2つめのグループは、現場である「卵巣」から出される二種類のエストロゲンと、プロゲステロン というホルモンです。
ちなみに、そもそも「排卵を引き起こすホルモン」は、といえばそれは、「LH ホルモン」です。LH サージと呼ばれる、LH ホルモンの急上昇が排卵の引き金です。エストロゲンとプロゲステロンは大雑把にいうと、排卵という「イベント」を真ん中とした時「前半」担当ホルモン=エストロゲン「後半」担当ホルモン=プロゲステロンです。エストロゲン急上昇(排卵のための準備)→ 排卵 → プロゲステロン(黄体ホルモン)急上昇(排卵後の後処理。ちなみに、この時期 基礎体温 上昇。)という流れになります。
以上をふまえて、各選択肢の検討を行います。
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
混乱しやすいポイントなのですが、第一段階の「視床下部による指令を受けて下垂体が放出する FSH、LH」は、卵胞や黄体のない男性でも放出されています。対象臓器は睾丸です。FSH → 精子形成促進、LH → 男性ホルモン合成促進 です。従って、A の方が、LH です。
この知識がなくても、急上昇している方が LH と判断できるとよいです。そして、LH の大量分泌 が排卵を引き起こします。
選択肢 2 ですが
ホルモン B は、FSH です。「卵胞」に作用します。「黄体」に作用では、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ホルモン C は「前半」担当ホルモンです。「前半」担当ホルモン急上昇 → 準備OK!LH急上昇していいよ!→了解です。じゃあ出して~。by 視床下部。(この指令が、性腺刺激ホルモン放出ホルモン)という流れなので、抑制ではなく促進です。
選択肢 4 は、正しい選択肢です。
「後半」担当のホルモン D が放出されることで、粘液分泌促進などの変化が促されます。
選択肢 5 ですが
基礎体温上昇を引き起こすのは「後半」担当のホルモン D、つまりプロゲステロンです。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
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