問 題
73歳男性。突然、下肢に力が入らなくなり、来院した。検査の結果、ギランバレー症候群と診断され、医師より免疫グロブリン製剤を手配するよう院内の薬剤部に依頼があった。
問312
免疫グロブリン製剤を管理する上で、行わなければならないのはどれか。2つ選べ。
- 製造番号又は製造記号の記録
- 冷凍保管
- 献血、非献血に分けて保管
- 使用した患者の氏名及び住所の記録
- 施錠できる場所に保管
問313
免疫グロブリン製剤等の血漿分画製剤の国内自給を推進するために必要とされている国の方針でないのはどれか。1つ選べ。
- 必要な献血量の確保
- 原料血漿の有効利用
- 国内製造品の製造費用の補助
- 医療関係者に対する意義の啓発
- 適正使用の推進
正解.
問312:1, 4
問313:3
解 説
問312
ギランバレー症候群とは、急性、多発性の、運動神経の障害です。自己免疫疾患の一種と言われています。発症に先行する感染症が多く見られることや、抗ガングリオシド抗体値の上昇が見られることなどが特徴です。
治療は、血しょう交換や免疫グロブリン大量投与が行われます。免疫グロブリン大量投与が簡便であるためよく用いられます。免疫グロブリン製剤は血しょう分画製剤の一種です。特定生物由来製品に区分されます。
以上をふまえ、選択肢 1 は、正しい選択肢です。
特定生物由来製品の使用時には、万一の感染症時における製品を使用した患者の特定を迅速かつ容易に行うため、製品名、製造番号、患者氏名・住所、投与日を記録します。記録は、20年間の保存義務があります。
選択肢 2 ですが
免疫グロブリン製剤は、禁凍結です。ちなみにアルブミン製剤や、血液凝固因子製剤なども禁凍結です。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
特定生物由来製品には、献血・非献血 を示すラベルが貼ってあります。しかしこれは保管を分ける目的ではなく、製品使用の際に、患者の方の選択に資する意図で表示されている情報です。分けて保管する必要は、ありません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
選択肢 1 の解説ですでに述べたように、製品名、製造番号、患者氏名・住所、投与日を記録します。
選択肢 5 ですが
特定生物由来製品の保管に関して、施錠できる場所への保管義務はありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
問313
厚生労働省の方針によれば(リンク先の、「第三」の項目です。)、国内自給が確保されるための具体的な方策として、献血量の確保、献血により得られた血液及び原料血漿の有効利用(→具体的には、採血から製造及び供給に至るまで事業者の最大限の効率化及び合理化を図ること)、医療関係者等に対する、血液由来製剤の意義の啓発、適正使用の推進 (エビデンスに基づいた、アルブミン製剤の使用量が減少傾向などいい傾向が見られており、その継続、推進)。の4つがあげられています。国内製造品の製造費用の補助は、あげられていません。
以上より、正解は 3 です。
ちなみに、試験本番ではこの4つを覚えている人は少ないのではないかと思います。そこで、それぞれの選択肢が国内自給の推進につながるかを推測するのが現実的ではないかと思います。
1 献血量が確保されれば、自給は推進されるだろう。
2 原料を有効に利用すれば、自給は推進されるだろう。
5 適正使用すれば、無駄遣いが減って、自給は推進されるだろう。と考えれば、3,4 に絞れるのではないでしょうか。
3,4 に関しては、一例ですが
4は
医療関係者、つまり、医師、看護師、薬剤師などが血液由来製剤の意義を理解すれば、現場での使用や在庫管理などにおいて適正使用が推進され結果として国内自給推進に貢献していく・・・?
3は
「製造費用を補助」すれば「どんどん製造する」ようにはなるだろうけど、原料への需要も急騰する → 売血制度などにもつながりかねない。(献血で、図書券などの金券が配られなくなったことなどを知っていると、連想しやすいかもしれません。)→ 確かに自給は推進されるが国の方針としてはよろしくなさそう。。。といった推測から、高い確率で 3 を選ぶことができるのではないかと考えられます。
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