薬剤師国家試験 第100回 問298-299 過去問解説

 問 題     

64歳男性。風邪気味のため近くの薬局を訪れ、薬剤師に一般用医薬品の相談をした。男性が持参したお薬手帳には、以下の内容が記載されており、1年以上継続して服薬していることがわかった。

問298

男性の症状を聴取したところ、喉がイガイガして痰のからむ咳があるが、鼻水、発熱および頭痛はないとのことであった。薬剤師は、以下の成分を含む一般用医薬品の中から、この男性に適した薬剤を推奨することにした。

推奨する一般用医薬品の成分として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. L-カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩
  2. アセトアミノフェン、エテンザミド
  3. デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、リゾチーム塩酸塩
  4. ジメモルファンリン酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
  5. イブプロフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素

問299

この患者に対して適切でないと判断された一般用医薬品について、その理由にあてはまるのはどれか。2つ選べ。

  1. 症状を改善させる成分が含まれていない。
  2. 現在使用中の薬物により代謝が阻害され、QT延長を引き起こす成分が含まれている。
  3. 排尿筋を弛緩させ、排尿困難を悪化させる成分が含まれている。
  4. 腺細胞を増殖させ、排尿困難を悪化させる成分が含まれている。
  5. 尿道括約筋を弛緩させ、排尿困難を悪化させる成分が含まれている。

 

 

 

 

 

正解.
問298:1, 3
問299:1, 3

 解 説     

問298

問299 とまとめて解説します。

問299

問298 の選択肢 1 は、適切です。
カルボシステインやブロムヘキシンは、痰を切る成分です。本問の男性に適しています。

選択肢 2 ですが
アセトアミノフェンやエテンザミドは、解熱鎮痛薬です。発熱、頭痛の見られない本問の男性には、適しません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい選択肢です。
デキストロメトルファンは非麻薬性鎮咳薬です。リゾチームは去痰薬です。本問の男性に適しています。

選択肢 4 ですが
ジメモルファンは、非麻薬性鎮咳薬です。ブロムヘキシンは、痰を切る成分です。d -クロルフェニラミンマレイン酸塩は、くしゃみ、鼻水などを抑える抗ヒスタミン薬です。鼻水がない本問の男性には不要な成分が含まれています。

また、タムスロシン(選択的 α1 遮断薬)を服用していることから前立腺肥大症による排尿障害の治療中と推測されます。従って、抗ヒスタミン薬により排尿筋の弛緩が生じそれに伴う尿閉のおそれがあり本問の男性には、適さないと考えられます。

選択肢 5 ですが
イブプロフェンは、解熱鎮痛薬です。アリルイソプロピルアセチル尿素は鎮静成分の一種です。鎮痛目的で配合されます。発熱、頭痛の見られない本問の男性には、適しません。

以上より、問298 の正解は 1,3 です

また、解説中にあった理由より
問299 の正解は 1,3 です。

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