問 題
74歳女性。糖尿病を患っており、在宅での治療のためインスリン製剤の自己注射を行っていた。
本日、患者より投薬を受けている薬局に電話があり、「昨日から下痢が続き、食事が普段の半分くらいしか摂れないため、主治医に連絡したが、休診で連絡が取れないので、生活面でどのようにしたらよいか。」との質問があった。
問290
質問を受けた時点で、薬剤師が患者に確認するべき事項として優先度の高いものはどれか。1つ選べ。
- 前回外来受診時の尿タンパク量
- 前回外来受診時の血糖値
- 前回外来受診時のHbA1c値
- 直近の血糖自己測定値
- 肥満度
問291
薬剤師は、患者宅を訪問して対応することとした。患者の質問に対する現状での回答内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 食事が摂れなくてもインスリン製剤の使用は続ける。
- 下痢をしていない時の食事内容を続ける。
- 野菜スープなどミネラル分を含むものを中心に水分摂取を心掛ける。
- 炭水化物の摂取は、下痢をしていない時の食事よりも少なくする。
正解.
問290:4
問291:1, 3
解 説
問290
質問からシックデイが疑われます。
シックデイとは、糖尿病患者の治療中における 熱・下痢・吐気などの体調不良のことです。この時、血糖コントロールが難しくなります。具体的には、病気に対するホルモン分泌で治療に用いるインスリンの働きが抑制され血糖値が上がったり、食事を取らない影響で血糖が下がったりするため、コントロール不良のおそれがあります。よって、血糖コントロールの状況を第一に確認しなければなりません。従って、確認すべき事項として優先度が高いのは、直近の血糖自己測定値であると考えられます。
以上より、正解は 4 です。
問291
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
食事をどれぐらい摂っていないかや、用いている薬剤の種類によりシックデイの対応は異なるため、自己判断での中止・減量をしてはいけません。
選択肢 2 ですが
食欲がなくても絶食はせず、消化がよく、食べやすいものでいつもの摂取カロリーの維持に努めることが推奨されます。とはいえ、体調のよい時の食事内容をあえて続ける必要はありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい選択肢です。
選択肢 4 ですが
炭水化物は、すぐにエネルギーとなり減らす必要はありません。また、摂取量が少ないと、脂肪がエネルギー源として用いられることにより、ケトアシドーシスにつながる危険性があります。そのため、炭水化物の摂取を、いつもより少なくする、というのは適切ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
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