問 題
60歳男性、身長172cm、体重72kg。10年前に2型糖尿病と診断され、経口血糖降下薬を内服していた。
血圧 136/86mmHg、脈拍 70/分。血清カリウム値 4.2mEq/L、血清クレアチニン値 0.7mg/dL、空腹時血糖値 126mg/dL、HbA1c 7.4%(JDS)、血清総タンパク 7.4g/dL、血清アルブミン 4.0g/dL。
尿中アルブミン値(クレアチニン補正) 1回目 120mg/g、2回目 80mg/g (基準値30mg/g未満)。
この症例に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 糖尿病の治療を行っても、腎機能の障害は改善しない。
- 降圧目標は140/90mmHgであり、本症例では達成されている。
- 尿細管障害がアルブミン尿の原因である。
- タンパク尿のため、浮腫が出現している。
- レニン-アンギオテンシン系の活性を低下させることにより、腎障害の進行を抑制できる。
解 説
選択肢 1 ですが
治療により、元の正常な状態に回復させる事は困難です。しかし、腎機能改善を図ることは可能です。「機能の障害を改善しない」は、言い過ぎです。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
糖尿病を合併した高血圧の降圧目標は、130/80 未満です。いわゆる厳格管理が推奨されています。国際的には、管理の緩和の流れにありますが、脳卒中発生率が高い等の日本の特徴をふまえての目標設定となっています。(100 回国試時点。)よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
尿中アルブミンの原因は、糸球体内圧上昇や、糸球体毛細血管の内皮障害などです。尿細管障害では、ありません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
本問の症例に関する情報からは、浮腫が出現しているかどうか読み取ることはできず、誤りであると考えられます。具体的には、血清アルブミンもそれほど低くなっておらず(基準値の目安 4.0 ~ 5.0。浮腫は 2.5 以下が目安。)総タンパク質もそれほど低くなっていない(基準値の目安 6.5 ~ 8.0。浮腫は、6.0 以下。)ことから判断できると思われます。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい選択肢です。
以上より、正解は 5 です。
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