問 題
ある液剤を25℃で保存すると、1次速度式に従って分解し、100時間後に薬物含量が96.0%に低下していた。この薬物の有効性と安全性を考慮すると、薬物含量が90.0%までは投与が可能である。この液剤の有効期間は何日か。1つ選べ。ただし、log2=0.301、log3=0.477とする。
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解 説
問題文より初めの 100 時間で、 4 % 減少しています。よって、薬物含量が 90% になるには後 6 % 減少する時間がわかればよいということになります。
1次反応式なので、反応速度は v = – k [A] と表すことができます。これは濃度に比例して、反応速度が変わるということを意味しています。もしも薬物が同じペースで減少するとすれば、後 6 % 減少するのに必要な時間は 100 ✕ 3/2 = 150 時間です。初めの 100 時間と合わせると 250 時間、つまり 10 日と 10 時間 です。
実際には、濃度が減っていくのだから反応速度は少し減って、もう少し時間がかかるはずです。だんだん減っていく濃度を考えるとわけがわからないので、もしも薬物含量が ずっと 90 % だったら 6 % 減少するのに必要な時間が何かを考えます。(こう仮定すると「6 % 減少するのにかかる時間は、実際よりも長い時間となる」 という所がポイントです。)
濃度が90% 、つまり 100% から10% 減少すれば反応速度も 10% 減少するはずです。そして反応速度が 10 % 減少すれば、反応にかかる時間は約10 % 増加すると考えられます。(「約」 とつけたのは速度が 10 % 減少すると実際には、時間は 11.1・・・%増加するからです。)つまり、4 % 減少するのに大体 110 時間かかるはずです。すると、6 % 減少するには大体 165 時間かかるはずです。(110 ✕ 3/2 で、165 です。)初めの 100 時間と合わせると 265 時間、つまり 11 日と 1 時間です。
これらの概算から、薬物含量が 90 % になるのにかかる時間は「10 日と 10 時間」よりは長く、「11 日と 1 時間」よりは短いとわかります。従って、有効期間は 10 日であると考えられます。
以上より、正解は 3 です。
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